長期金利柔軟化検討という報道が流れた20日金曜日の夜、1ドル=112円40銭近辺で推移していた円ドル相場はNY為替市場では1円程度、円高に振れました。20日以降も日銀の政策変更に関する報道が相次ぎました。この報道により、これまで「無風」と予想されていた今月30~31日開催の日銀金融政策決定会合は一転、世界中の注目の的となりました。日銀は2%目標達成を掲げ異次元緩和をスタートさせ5年以上経ちましたが、6月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.8%上昇と目標の半分以下となり、基調を示す生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.2%上昇にとどまる内容となりました。日銀は決定会合で、超低金利長期化による金融機関への悪影響や市場機能低下など、累積している副作用を軽減する方策を議論すると市場は警戒もしています。
日本銀行がイールドカーブ・コントロールに調整を加える可能性があるとの報道は、日本の国債売りを誘発させたばかりでなく、先進国の指標国債利回りも上昇させました。来週7月30ー31日の日銀金融政策決定会合では急激な変更はないとみられているようですが、債券関係者のみならず、世界の株式やFX投資家も日銀の行方を注視しています。

 株式市場からみれば、良好な企業業績を受けて米国株は堅調でドル・円の支援材料となっており、27日の米GDPは4%の成長が見込まれており、潜在成長率の2倍のスピードで高成長を続け、トランプ米大統領は米利上げに対して批判的な意見を述べましたが、米利上げ継続は既定路線となっています。
 債券市場からみれば、日銀は来週の日銀会合で緩和長期化の悪影響議論との報道で、金利上昇に対して指し値オペ実施を行い抑制を促しましたし、「展望リポート」では物価見通しが引き下げられる可能性が高く緩和姿勢を変えることは難しいかと思われます。2%目標目指して、緩和継続に変化はないかと思われます。短期金利をマイナス0.1%とし、長期金利を0%程度に抑える現行の大規模緩和の枠組みは維持するとみられます。

 7月26日付の日経新聞では、「日銀は金融政策決定会合で年6兆円買っている上場投資信託(ETF)の購入配分の見直しを検討する」と報じました。個別株の価格形成への過度な影響を抑えるため、東証株価指数(TOPIX)連動型ETFなどを増やし、日経平均株価連動型ETFの購入額を減らす方向で議論するとのことです。これまでの大量のETFの買いにより日銀はファーストリテイリングやアドバンテスト 、太陽誘電などの20%を超す株主となっているともみられ、株式市場安定化の効用の一方、一段のETF買いに対する弊害を指摘する声が市場では出ていました。日銀は年6兆円の金額は維持するものの、TOPIX連動型ETFを増やすことが、直近の三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなど銀行株上昇につながりました。TOPIXの比率を高め日経225の比率を下げることは、値がさ株のファーストリテなどにはネガティブ材料となる一方、時価総額が大きくTOPIXへの影響度が高い三菱UFJなどにはポジティブな材料となるからです。大手銀行株が連結PBRで0.5~0.6倍という低水準でいたのは、現行の超低金利政策が暫くは続くという前提で価格形成がなされていたということで、もし日銀の配分変更が行われれば、長期的には銀行株を世界の投資家は見直すきっかけとなるとも考えられます。

 緩和縮小と受け止められれば金利急騰や円高、株価の下落を招く恐れもあり、今回の会合で具体的な対策が打ち出されるかは現状では不透明ですが、世界中の注目が集まっています。