トランプ米政権による直接・間接的な圧力が中国経済に打撃を与え、世界の金融・資本市場にリスクオフムードを高め、米株式相場に跳ね返る悪循環相場の様相が強まっている。市場は米中対立の行方に身構え、株式などのリスク資産を手放し始めた。

10日のNYダウ工業株30種平均は前日比831ドル安と大幅下落となった。米長期金利の上昇でもともと割高感が意識されやすかったハイテク株への売りが膨らんだ上、米中貿易摩擦の長期化懸念が改めて売りを誘発させた。チャート分析上のテクニカル要因も重なり、売りが売りを呼ぶ展開となった。

ムニューシン米財務長官が英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、 人民元の下落について中国政府による為替操作の真相を確認する方針を示した。また、人民元が1年の間に大幅に下落したことを認識しており、中国が通貨切り下げ競争に従事していないことを米国は確認したいと強調した。米国の中国への 態度が硬化する中、米財務省が中国を為替操作国と認定する可能性も否めない状況と市場は受け止めた模様だ。

また、米国の国務長官が国家主席と会談しない異例の事態に ペンス副大統領は中国が中間選挙に介入する可能性に言及さえもした。中国側は米国に誤った行動を辞めるよう要請し、北朝鮮問題のような協力していかなければならない 問題への対応を弱体化させると訴えた。訪中の際に、米国の国務長官が国家主席と会談しないのは異例中の異例だ。

トランプ大統領は中国が貿易協定で合意する用意がまだないとし、追加で 2670 憶ドル規模の中国輸入品に関税を賦課し、全中国輸入品に関税を課すと警告した。米国政府は9月末に2000憶ドル規模の中国製品に10%の関税を賦課。来年からは25%に引き上げる可能性を警告している。

NYダウは寄り付き直後から売り先行となったが、午前 11 時 20 分ごろから午 後 2 時ころまで 2 万 6000 ドルと 2 万 6100 ドルのレンジ内の動きが続いた。しかしながら、午後 2 時過ぎに、50 日移動平均線のある 2 万 5598 ドルを下回ると、テクニカル分析に基づく売りを誘発させた。CTA勢などによるアルゴリズムに従った機械的な売りも観測された。

売りは加速度化し、引けは最安値圏となり、結局NYダウは831.83 ドル安(-3.15%)の 25,598.74 ドルで取引を終了した。下落幅は 2 月 8 日以 来の大きさだった。米長期金利の上昇を受けてハイテク株を中心に株式の割高感につながり、米中貿易摩擦の長期化懸念から投資家がリスク回避姿勢を強めたのも相場展開だった。米国株の予想変動率を示す変動性指数(VIX)が前日から約4割上昇の22.5を付ける場面があった。VIX指数は投資家心理を測る指標となる20を超えると不安心理が高まった状態とされ、VIXの上昇もリスク回避姿勢を強めた。株安の逃避から、10 年国債の利回りは 3.19%まで低下した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に反落し、5 月下旬以来の安値で終了。下落率は 2016年6月下旬以来ほぼ2年4カ月ぶりの大きさとなった。

10日の大きな特徴の一つに高級ブランド株の下落があげられる。宝飾品の米ティファニーが10%下落したほか、パリ市場ではLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが7%、ロンドン市場ではバーバリー・グループが8%それぞれ下落した。「LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが中国税関当局の高級品取り締まり強化を認めた」と米ブルームバーグ通信が10日、報じた。世界の高級ブランド株は中国依存度が高いだけに業績への影響が心配されるのは当然だが、中国当局による海外ブランド品購入への圧力は、人民元安に頭を抱える中国にとって資本規制という側面もあるからだ。市場では、中国の外貨準備は本当に十分足りているのかという不安さえも煽った。

日本株も、米企業の決算次第だが11月の米議会中間選挙に向けてしばらくは神経質な展開が続くと想定される。