相場感とデルタヘッジについて

先週のポジションは、イタリアの財政問題などの関係もあって、雇用統計後にある程度動くと考えられたEURについてデルタヘッジ付きのオプションポジションをとってみたものでした。経過を報告すると、EURは1.15割れとなり、一時かなり下落しそうな雰囲気を漂わせていましたが、売り圧力もさほど強くなく、昨日は米国株が大きく下落する中で、債券、為替は非常に静かな動きとなって、EURも1.15前半に戻ってしまいました。

相場感として、1.15割れとなった場合にはかなり下落する可能性を感じていたので、デルタヘッジとして行ったEUR売りは、10/9に戻りかけた1.1460でストップ買いをEUR13100行い、残りをショート継続にしています。

EURコール1.1550は昨日の23時時点で満期となり権利は不行使ですから、現時点ではEUR ショートがEUR 10,000、持ち値10月3日の日中1.1529という状態になっていて、結果的にはオプションプレミアムUSD204支払い、スポット取引分の利益がUSD69ですから、ちょっと損失です。

今回のオペレーションについて少し説明すると、当初ポジションを作った時は、EURが1.15前半におりました。この時、行使価格1.1550コールに対するデルタ値(EUR/USDスポット取引の感応度)は0.462でしたから、元本EUR50,000に対するデルタヘッジ額はEUR売りEUR23,100(=EUR50,000×0.462)です。当初ポジションを作った時点では、デルタニュートラルと言って、EURが上下大きく振れていけばどちらに行っても収益が上がるという形でポジションを作成しました。

その後EURが1.15を割れたので、相場感としては割と大きく下落する可能性を感じていたため、スポット取引は特にいじることなく、EURの下落を見ていました。EURが1.14台前半では、行使価格1.1550のEURコールのデルタ値は0.2を割れていましたから、ニュートラルにするためのデルタヘッジ額はEUR 10,000 (=EUR50,000×0.20)以下です。ですから、私は戻る場合に備えて半分だけ1.1460でストップ買いを入れて、下落は放っておくという選択をしました。結果的にこの判断が間違っていたことになりますが、このようにオプション取引は、為替の方向感を考えながらデルタヘッジをうまく行うことで利益を上げるという戦略が基本といえます。

今のところ、わかりやすく説明するために、「オプション取引自体をいろいろと組み合わせる」戦略や「オプションを売る」という戦略を説明しておりませんが、例えば、デルタヘッジ代わりにEURが1.14台前半にいた時に10/17とかもっと先の1.1450コールを買うというような戦略もあります。そうすると、今回の動きには少しうまく乗れていると思います。オプション買いの場合は、相場の大きな波に乗ることを待つためにヘッジをかけるという考え方が大きく利益を上げるためのスタンスといえます。為替の取引はトレンドが出た時に順張りに打って出ることが大きな収益を上げるための重要なスタンスといえますが、オプションの買いにデルタヘッジをかけるというポジションは、そのトレンドが出た場合に自動的に順張りが入ることができる戦略といえます。

今回のオプション戦略では、EURが下落して波に乗りたいと感じていたのですが、ちょっと見通しが外れたということです。

株など、他のオプションとの関係について

まだ、このコラムではオプション取引の最も重要な要素であるボラティリティについての戦略、いわゆるボラティリティ・トレーディングの説明をしていません。今後説明しますが、その準備を少ししておきます。

オプションには、様々な資産の種類があります。例えば日経225オプションは株オプション取引です。実際に私も株のオプションなども取引しています。

オプション取引の価格は、ボラティリティの大きさが重要だということは、何度かお話しましたが、ボラティリティはそれぞれの試算によって違います。例えば日経225オプションの11月限、行使価格22500円では10月11日11:37時点では22.16%です。

saxobankの画面で同じころの満期である11月7日のEUR1.16コールはボラティリティが7.5%ですから、日経225オプションは約3倍のボラティリティになっています。

株のオプションの代表的な指標にVIXという米国SP500のオプションのボラティリティ指数があり、これは昨日クローズ時点で22.96%、前日比+7.01です。昨日米国株が大きく売られて、相場の変動が激しくなることが予測されてボラティリティは大きく上昇したわけです。それに対して、通貨オプションのボラティリティはあまり動いていません。これは、「今のところ為替相場は大きく変動するとは市場は見ていない」といえるわけです。

ボラティリティという共通の言語でつながっている、様々なオプション市場は、それなりに影響をしあっていますので、これから株の変動が大きくなれば、為替のボラティリティも上がるかもしれません。通貨オプションい興味を持っているのであれば、今後は株のオプションのボラティリティ、特にVIXは多くの投資家が気にしていますので見るようにすることをお勧めします。