米財務省が2018年10月17日に半期に一度の為替報告書を公表(前回は 4 月 13 日)し、注目された中国は為替操作を行ったと認定されなかった。同省は中国に対し、最近の人民元安を受けて相場動向を注視すると通告する一方で、為替操作国認定によって貿易戦争が一段と激化する事態は避けた格好となった。日本など他の監視対象国も為替操作を行ったとは認定されていないものの、監視対象国は4月の報告書から変わらず、中国、日本、韓国、ドイツ、スイス、インドの6ヶ国だ。

ムニューシン財務長官は声明で、「特に懸念されるのは中国の為替の透明性が欠如していることと、最近の人民元安だ」とし、「われわれは中国人民銀行(中央銀行)と現在進めている協議を含め、中国の為替慣行の監視と検証を続ける」と表明した。

中国人民銀行による直接の為替介入は2018 年に限定的と指摘しつつ、為替慣行が 透明性を引き続き欠く旨も指摘している。更に人民元の減価が中国の対米貿易黒字を拡大する可能性にも触れた。トランプ政権が為替を含めて、対中貿易協議を強圧的に進める旨の示唆とも受け止められる。

米財務省は、日本については、大幅な対日貿易赤字が続いていることを引き続き懸念。日米関係については、貿易パートナーにおける為替変動の透明性の向上を米財務省が賛美している点が最も重要な点なのかもしれない。米財務省は、1)韓国による 2019 年初めからの為替介入の報告開始 2)USMCAにおける不公正な為替取引の回避及び透明性の向上を挙げた上で、「将来の米国の貿易協定において、同様のコンセプトが盛り込まれることが適切」と論じた。

早ければ2019年1月から始まる日米貿易協議で は、トランプ政権からの為替条項を含む厳しい要求に、安倍政権はさらされうる。

米国は三つの基準に基づき、為替操作の実施を判断。
(1)対米貿易黒字が200億ドル以上
(2)経常黒字がGDP比 3%以上
(3)持続的な一方向の為替介入;12 ヶ月間の純外貨買入額がGDP比2%以上

監視対象6ヶ国のうち、
(1)対米貿易黒字が200億ドル以上の基準には中国と日本、韓国、ドイツ、インド の 5ヶ国が 4 月に続き該当。
(2)経常黒字が GDP 比 3%以上には日本と韓国、ドイツ、スイスの4ヶ国が該当している。これも4月から変わらない。
(3)持続的な一方向の為替介入には 4 月時点でスイスとインドが該当したが、10月時点の該当はない。スイスの純外貨購入額はGDP比で2%を超えたものの、 頻度が大幅に減少したため「持続的な一方向」と見做されず、基準から外れている。
三つの基準全てを 満たす国は存在せず、為替操作国の認定は行われなかった。

米財務省が公表した外国為替報告書は、冒頭に多くのページを割いて中国への批判を展開し、けん制を強めたのが特徴だった。