11月6日に投開票が行われた米中間選挙では、市場の予想通り、上院は共和党が勝利し、下院は民主党が10年ぶりに多数派を奪還する結果となった。結果、2019年1月に招集される第116議会は、2年ぶりの「ねじれ議会」となる。注目された州知事選は民主党が躍進して、ほぼ拮抗状態となった。

日本時間7日10時頃には一時的だが、ABC ニュースの政治データサイト「FiveThirtyEight」の予想で、下院を共和党が支配する確率が6 割超と報じられ、市場の話題となったが、その後は民主党が支配する確率が継続的に強まった。

下院は民主党が過半数の218議席を上回る219議席を獲得、現有議席の193 議席、2016 年の大統領選・議会選時の195議席を上回り、2008年の大統領選・議会選以来、10年ぶり、5セッションぶりに多数派を奪還する結果となった。米国では新たに2年間の議会運営がなされる。来年1月に議会招集と一般教書、2月頃に予算教書が発表され、来年10月から新たな予算が執行される運びとなる。

事前の予想通り、上院は共和党が多数派を維持し、下院は民主党が多数派を奪還、知事もほぼ拮抗することとなったことで、米国の人口動態的には、共和党は2年後のみならず、長期的にも相当厳しい時代を迎えることになると言えそうだ。次回以降、共和党の上院の改選議員は急増する可能性が高い。民主党知事の下、下院の選挙区割も民主党が有利になるよう変更となる可能性が否めないからだ。

トランプ米大統領は、中間選挙から一夜明けた7日にホワイトハウスで記者会見した。この中で、下院で過半数を奪回した民主党が政権に対する調査に向け権限を行使しようとすれば、超党派による協力を断念し、反撃に出ると警告した。下院の委員会では多数派の民主党からトップが選出され、トランプ氏が自発的な公表を控えている納税申告書や、公務と事業の利益相反問題、2016年米大統領選を巡るロシア疑惑について調査することができる。

今回の選挙結果により、重要法案の成立は2020年の選挙後まで先送りされることになる可能性がある。社会保障制度改革が実施される可能性は極めて低くなり、税制改革はあと2年間進まない可能性が高くなった。両党がインフラ投資の必要性で合意する可能性には期待したいところだ。移民、貿易、インターネット規制などの重要政策に関しては2020年の大統領選後まで引き続き大統領府が最終決定を下すことになると想定される。

市場への影響は事前予想通りだったため、直接的な影響は現状では見られていない。米中貿易交渉は、トランプ政権は引き続き関税を使って、中国などの貿易相手国に圧力をかけ続けるだろう。また、議会の膠着状態が深刻化し、法案の成立が難しくなる可能性が高い。よって、歳出削減の分野で合意点が見出せなければ、深刻な財政赤字が改善されず、長期国債の利回りに上昇圧力が かかるだろう。

しかし、トランプ大統領は今後も大統領権限を行使して規制緩和を進めることで、企業利益の拡大を引き続き後押しすると予想される。また、今月は中国が米国との交渉を加速させ、月末にも見込まれる米中首脳会談までに話がまとまるとの観測もある。中国では11月末までに共産党中央委員会全体会議、 12月半ばに中央経済工作会議を開催する予定だ。トランプ大統領との交渉がまとまらないことで国内会議の開催に支障が出ることとなれば、中国上層部の面目問題まで発展する可能性が否めない。