20日のWTI で期近12月限は前営業日比6.6%低下、3.77 ドル安の1バレル53.43ドルで取引を終了。ニューヨーク原油相場は、約1年ぶりの安値を付けた。イラン制裁で同国の原油供給が細るとの懸念が後退している一方で、世界景気の減速で需要が伸び悩むとの見方が強まっている様だ。原油在庫も積み上がる傾向にあり、先安観が相場の重荷となっている。米株安で投資家がリスク資産の持ち高を手じまっていることも原油の売りにつながった。トランプ米大統領が石油輸出国機構(OPEC)の減産をけん制したことが売りを加速させる主な要因となった。

また、これまで原油の持ち高をロング(買い)、天然ガスをショート(売り)に傾けていた一部ファンド勢などが、反対売買を強いられていることも原油の上値の圧迫要因となっている模様だ。テキサス州メキシコ湾岸のコーパスクリスティ市に今月、150億ドルを投じたLNG輸出向けの施設が竣工された。式典にはロス商務長官も参列しており、市場の一部から、米政府が貿易交渉の切り札として、11月30~12月1日の20カ国・地域(G20)首脳会議で米LNG輸出を使うのではないかとの思惑さえも台頭している。

米天然ガス先物相場はブルなトレンドが強まっている。指標となるヘンリーハブの期近12月限は14日に一時100万BTU(英国熱量単位)4.9ドル台と期近物として14年2月下旬以来の高値を付けた。20日も4.5ドル台と上昇基調だ。天然ガス価格は過去4年間に2~3ドル台と低調だったが、9月中旬から一気に水準を切り上げ始めている。今の天然ガス在庫は例年より16%低く15年ぶりの低水準を付けているとの一部報道もポジティブ材料となっている。

WTI原油先物は10月3日に付けた約4年ぶりの高値からわずか1ヵ月半のうちに2割以上下落したことや、心理的な節目の50ドルに接近していることから、足元では短期的な戻りを期待した買いが入っている。ただ、売り材料は依然として多く、米国内ではシェールオイルの増産が加速している。

転機としては12月6日のOPEC総会が考えられる。OPECや非加盟国のロシア等は、2017年1月から協調減産を実施しているが、18年末で期限を迎えることから、減産が継続されるかどうかに市場の関心が集まっている。OPEC総会の合意内容次第では、OPEC総会後に原油相場が下げ止まる可能性が高いと考える。 ただ、原油相場が本格的に反転するとすれば、OPECやロシアの減産が実際の数字として確認できる年明け以降になる可能性もある。