11月29日のNYダウは続伸して始まった。寄り付きは前営業日比84ドル高の24,832.84。パウエルFRB議長のハト派的な発言から、米国東部時間午後12時すぎから急上昇する展開となり、右肩上がりの展開で、617.70ドル高(+2.50%)の25,366.43ドルで引けた。昨日同様、引け値は一日の最高値圏となった。

上げ幅は3月下旬以来、約8カ月ぶりの大きさで月間でも上昇に転じた。 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言で、利上げ打ち止めが近いとの思惑が広がったことが最大の理由だ。また、12月1日の米中首脳会談への期待も相場を押し上げた。パウエル議長は28日午後の講演で、政策金利について「景気を加速も減速もさせない中立水準よりわずかに低い」と述べた。10 月 3 日の講演では中立金利は「まだ遠い」と語り、利上げ局面が長引くとの思惑を誘発させ、金利上昇と株安に繋がった経緯がある。利上げに前向きな「タカ派」色が薄まったとの見方から、幅広い銘柄に買いが先行した。

パウエル米FRB議長の11月28日のニューヨークのエコノミック・クラブでの講演タイトルは「金融安定監視のための連邦準備制度のフレームワーク」。「金融安定 報告書(FSR: Financial Stability Report )」の初めての公表に合わせたテーマ設定で、 講演内容のほとんどは FSRのフレームワークや金融システムの安定に関してだった。しかしながら、金融関係者の注目は、パウエルFRB議長の金融政策運営スタンスに集まっていた。パウエル議長も冒頭で「見通し及び金融政策」という項を設け、市場の期待に応える内容であった。従来の利上げ継続を強調するコミュニケーション路線から修正し、パウエルFRB議長が慎重なトーンを滲ませる方向へ軌道修正を図った点も確かなように思われた。

ニューヨーク・タイムズは27日、複数の政府関係者の発言として米中首脳会談が「停戦の舞台になる」と報じた。トランプ米大統領は貿易戦争が金融市場や経済に与える影響を懸念しているという。問題解決に向け米中が交渉する数カ月間は新たな関税を遅らせる可能性があるという。利上げ打ち止め観測から金融政策の影響を受けやすい2 年物の米国債利回りが低下した一方、長期金利の指標である10年物の米国債利回りは横ばい圏で推移となった。長短金利差の縮小への警戒感が後退し、ゴールドマン・サックスや JP モルガン・チェースなど金融株が軒並み上昇したことはポジティブに捉えたい。