週末の米中首脳会談とオプション相場

先週は、英離脱問題に絡んでBOEのカーニー総裁がポンドのオプション同行を通じて懸念を表明していました。

今週は、週末に行われる米中首脳会談がオプション市場に与えている影響を見てみましょう。

米中貿易摩擦で最も影響を受ける通貨ペアはもちろん人民元の対ドルレートです。

ご存知のように人民元のレート(USD/CNH)は、重要な抵抗ラインと見られている7手前まで上昇(人民元が下落)して、

もう8週間ほど6.9台での推移となっています。そもそも人民元は、1日の取引レンジを制限(対ドルでは基準値±2%)されている通貨であり、

ボラティリティは低いのでオプション市場で注目されることは少ないといえます。

今回は、大きな抵抗ラインとみられている7に近いことと週末に大きなイベントが控えているので少し注目が集まっています。

実際のオプション価格を少し見てみると以下のような状況です(2018年11月28日13:40の価格、上の図がUSDプット/CNHコール、下の図がUSDコール/CNHプット)。

 

 

最も期近の12月5日満期のオプションのIVがATMの6.9500で8.35%と最も高くなっていることがわかると思います。

これは当然週末の米中首脳会談を意識した価格形成になっているということです。1週間という短いオプションとはいえ、

日中レンジが制限されていて通常は変動がモデレートな人民元のオプションで8%台のIVはかなり市場が意識していると思われます。

ただ高いといっても7.00のUSDコールオプションが118.6-172.0 pipsという価格ですので、例えば人民元をロング(USDショート)にしている投資家には、首脳会談後に人民元が対ドルで大きく下落する場合のヘッジとしてもリーズナブルと言えるかもしれません。

ちなみに11月27日付Bloombergの” Currency Traders Place Cheap Bet That Trump and Xi Could Reach a Truce”という記事によれば、

人民元のリスクリバーサルは26日時点で6月以来の低さとなっているそうです。

この意味はOTMのUSDコール(人民元プット)がOTMのUSDプット(人民元コール)に対し相対的に高い状態(あくまで相対的に高い状態です

、基本的にOTMのUSDプットがいつも高いので、その差が小さくなっていることを意味します)になっているそうです。

このことは、オプション市場で人民元安リスクが少し高めに意識されていることを表しています。

さて、人民元の代替としてはAUDがよく見られますので、AUD/USDのオプションも見てみましょう。

こちらはsaxobankのボラティリティのページ(https://www.tradingfloor.com/tools/fx-options-vols-reversals-risk)をチェックします。

 

まぁ当然のことですが、AUDUSDのIVも上昇しており、1週間のIVは10.25%になっていて、

最近何かとチョッピ―な動きのポンドよりIVで見れば高くなっています。このレベルは先ほどのBloomberg記事によれば、2月以来の高さだそうです。

ちなみにAUDUSDの1週間のIVは、11月27日時点で5日連続の上昇でこれも4月以来ですが、

市場はイベントリスクに備えてオプションを買っている状態といえます。また、イベントを意識して高くなっているところで売りを入れたオプショントレーダーが、

少しスクイーズ気味になっているともいえると思います。

米中貿易摩擦が簡単に解決できるとは思えないのですが、国内経済が減速気味の中国は、

欧州にいる劉鶴副首相から市場開放のコミットメントが出たり、積極的な感じが見えますし、

トランプ大統領もディールの可能性はあると発言していますので、市場では様々なポジションがあるかもしれません。

その影響を考えれば、少なくともスポットポジションがそれなりにある場合には、オプションによるヘッジ買いという選択肢も頭に入れておくべきでしょう。