12月1 日のカナダ当局による(米国の要請)中国通信機器大手企業ファーウェイCFO逮捕以降、「米中一時休戦」シナリオへの懸念が再台頭し、90日間の通商交渉のなかで「中国製造2025」への踏み込みや、交渉の強硬化がなされるのではないかとの不安が高まる展開となった。トランプ米大統領は貿易赤字に重点を置いている。だがそれと同時に、政権内のタカ派には、中国が補助金を使い航空宇宙、人工知能(AI)、通信などの分野で世界首位を目指す製造業振興策「中国製造2025」を封じ込める狙いもあると市場は受け止めた。

斯かるなか、11日にカナダのブリティッシュコロンビア上級裁判所がファーウェイCFOの保釈を決定したほか、トランプ大統領が中国との通商協議について、電話会談で行われているとし、「おそらく再び会談する。両国の高官が会談するかもしれない」「必要なら習近平国家主席と再会談する。習氏のことはとても好きだし、非常に気が合う」(11 日、Reuters)とも述べた。

12日の日経平均株価が大幅に上昇したように、ファーウェイCFO逮捕と米中通商問題とは別件、とのコンセンサスが徐々に形成されたとも言え、「対中政策先鋭化懸念→株安→Fedハト派化期待」を拠り所とした今次の株安局面は一旦収束となりそうだ。

12日のNYダウは中国が産業高度化への外資系企業の関与を柔軟にするとの報道もあり、大きく上昇。「中国製造2025」が米中関係緊迫の根源にあると思われ、報道通りなら米中の関係改善につながる。前日から中国が米国産自動車の輸入関税引き下げなどを検討しているとも伝わっており、そこに中国の産業政策が国際社会に開かれるとの期待が加わったのは大きい。しかしながら、市場では「米中(緊張緩和)を巡る報道にはまだ半信半疑。ポジティブなニュースの見出しで買いを入れるアルゴリズム取引と懐疑的な投資家心理がぶつかり合っている状況だ。

為替相場で、ドル・円は113円台での底堅い推移が続いている。ただ、これは「円安」ではなく、むしろドル高に拠る所が大きい。2017年以降のドル・円はドル実効為替レートとの連動性を強めているが、GBP・USD や EUR・USD の下落傾向が続いているだけにドル・円も底堅いということと言える。そして、今年については全ての通貨を巻き込む形での「年末=ドル高」 の圧力が強くなると言えそうだ。ドル・円について は 114 円55銭などのチャートポイントを上抜ける最後のチャンスであるともある意味考えられる。2019 年には「Fedの利上げに先行する形でのドル実効レートの下落」が予想されるが、つまり、2018年末を越した後は、ドル・円のピークアウトが近くなるかもしれない。