米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で保有資産(バランスシート)縮小について修正する可能性を表明したことで、金融引き締めへの警戒感が後退した米株式市場のニューヨークダウは前日比434ドル上昇し、昨年12月上旬以来ほぼ2カ月ぶりに節目の2万5000ドル台を回復した。会合後に公表した声明文では、先行きの金融政策について「政策金利の調整の決定を我慢できる(patient)」とした。従来の「若干の緩やかな金利引き上げが適切」との文言は削除した。景気を巡っては「米経済は堅調なペースで成長した」と従来の「力強いペースで成長」からやや判断を引き下げた。

株式市場では、追加利上げの休止は織り込んでいたものの、バランスシート縮小の修正を明言したことはある意味ポジティブサプライズとなった。FRBは資産縮小に関する声明を別枠で発表し、「経済活動や市場動向に応じてバランスシート正常化の詳細を修正する用意がある」と明示した。

パウエルFRB議長は前回12月の記者会見で、資産縮小について「自動的に縮小を進める」と述べ、米株が急速に売り込まれるトリガーをひいた。しかし今回は「利上げと資産縮小の両方を慎重に進める方針を打ち出し、マーケットに配慮した」印象だ。金融引き締めがいったんは止まるとの見方の台頭や業績面で米アップルやボーイングといった中国関連銘柄の決算発表が好感されNYダウの上げ幅は一時530ドルに迫った。

一方で、金融政策の正常化に向けた二面作戦、利上げ路線とバランスシートの縮小路線の休止が示唆されたことでドルは弱含みな展開となった。FOMC声明やパウエルFRB議長の発言を受けて改めて米利上げ休止観測が高まり、全般ドルを売る動きが広がった。米経済のファンダメンタルズや金融政策の変化に着目し、比較的長いスパンで取引戦略を決める「グローバルマクロ」型の投機筋は米利上げ停止は近いと想定し、昨年後半から米国債の買い持ちに傾いていた様だ。

31日午前の東京株式市場で日経平均は海外短期筋や商品投資顧問(CTA)などによる株価指数先の買い戻しで大幅に上昇したものの米金利の低下に伴う円高・ドル安基調が懸念され徐々に売りに押される展開をみせた。

米国の利上げ停止は世界的な景気減速が背景を浮き彫りにさせた。市場の懸念は政策方針が一貫しないパウエル議長不確実性だ。今回のFOMCでFRBはこれまで「見直さない」としてきた資産縮小策を撤回。こうした不定見な対応は市場に誤ったメッセージをもたらす可能性がある。景気拡大や物価上昇を示す経済指標の結果次第では追加利上げに動く可能性も否めない。

また、FRBの利上げ停止で円高が進めば、日銀によるマイナス金利の深掘りなど利下げに動かざるを得ない状況も警戒される。銀行など金融株にとっては収益環境の悪化がさらに長引く可能性が高まる。

東京株式市場は、低金利基調による円相場の行方と米中貿易摩擦の行方に一喜一憂する相場展開が続くと警戒される。