■離脱期限まで残り8日

4月に入り英国の決断期限12日まで残り8日となりました。英国議会ではその後も離脱に関して繰り返し採決が行われてきましたが、全ての代替案が否決されたことで、12日までに結論が出ず合意なき離脱の可能性がかなり高くなってきています。

いっぽうで合意なき離脱を回避したいという点では英国議会はほぼ合意が見られますので、メイ首相はギリギリの時間で野党協力を得るため、昨日コービン労働党党首と会談を行いました。会談では結論は出なかったものの協議は有効だった、首相は膠着打開の提案は行わなかった、とコービン党首は会談後に話しました。

メイ首相としては先のEUサミットで英国側の要望が聞き入れられなかったことから、現時点で英国とEUとの間で合意されている修正案には手を入れず超党派でのまとまりを得たいということでしょうが、果たしてうまくいくのかどうかはこれまで同様に不透明としか言えません。それよりは上手く行かず合意なき離脱を迎えてしまう可能性のほうが今は高くなってきたと言えそうです。

またメイ首相としては反対の立場ですが、EUからも提案のあった長期の離脱延長という案もあります。これは5月23日から始まる欧州議会選に英国も参加することで、実質的なEU残留と離脱期限仕切り直しという方向です。欧州議会は英国が離脱すれば706議席を争うことになりますが各国の選挙同様に極右が勢力を伸ばしそうです。前回選挙では英国の議席が46議席ありましたので、EUとしては一層右傾化ということになります。

そうした点では現在欧州議会としては、英国がEUに残ることにメリットはあるのでしょうが、英国としても欧州議会選に参加するための準備期間も必要ですから、それの期限も合わせての4月12日ということが決まったはずで、残り8日で全てが決まることとなります。英国議会で超党派の合意が得られ(欧州議会選には参加せず)5月22日に離脱という流れが好ましいシナリオ、英国議会で合意が得られず4月12日に合意なき離脱という流れは避けるべきシナリオということは、英国政府も市場参加者も同じ見方でしょう。

可能性は低いものの無いわけではないシナリオとして、英国が欧州議会選に議員を送り実質的にEU残留となる長期の離脱延長模索というケースもありますが、国民投票の結果は直接民主主義の結果で重視すべきであるとの立場であるメイ首相としては、合意なき離脱を選ぶ可能性のほうが高いのではないかと個人的には考えています。そうした点ではポンドを取り囲む環境は市場参加者が思っている以上に下振れするリスクがあると考えざるを得ません。

■ポンドドル日足チャート

テクニカルにはどうでしょうか。ここではポンドドルの日足チャートを見てみます。

チャートを見ても分かる通り、ポンドドルは昨年12月から上昇トレンドを継続しています。英国を取り囲む状況から考えると上昇は不自然とも思えますが、それまでの下げでポンド売りポジションが増加し、不透明なブレグジットの行方を警戒してポジションを減らしている動きとしか考えることができません。

チャートでは上昇チャンネルを12月安値を起点として描き、1月3日のフラッシュクラッシュはドル円急落がポンド円急落を招き、それがポンドドルにも影響したということから敢えてサポートラインから除外してみましたが、そうすると現時点まで比較的きれいな上昇チャンネル(クリーム色)を描けます。

またチャート左端は昨年の高値ですが、この高値と今年の安値のフィボナッチリトレースメントを見ると半値戻しが1.33749(緑の水平線)と3月13日高値1.33806とほぼ一致していることがわかります。つまり、3月高値は重要な戻り高値であった可能性が高いと見ることができます。

この3月高値とその後の3月27日高値を結んだレジスタンスラインを引いてありますが、現時点ではこのレジスタンスが戻りの限界点として作用しやすい水準と考えることができ、同ラインは1.32前後を緩やかに下降中です。上値を抑えられれば上昇チャンネルの下限レベル(現時点で1.30前後を緩やかに上昇中)までの下押しが考えられます。いっぽうで、レジスタンスを抜けてくると半値戻しの水準である1.33台後半までの上昇が考えられるでしょう。

全ては、英国のブレグジットの行方次第となりますが、どのような形にせよ離脱となれば、長期的には英国、そしてポンドの凋落の始まりとなる懸念は拭い去ることができません。