欧州景気の弱含みが台頭する中、米国で労働需給の引き締まりが意識され、ドル買いが優勢な展開になっている。世界景気の減速に対する警戒感がくすぶるなか、足元はドルに上昇余地があるとの見方が市場では増えつつある様だ。

 ドル高の背景の1つに欧州景気の下振れ感が台頭。4日発表された2月のドイツ製造業新規受注は市場予想に反して前月比4.2%減となった。IHSマークイットが1日発表した3月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は6年8カ月ぶりの低水準となり、製造業の景況感に対する見方は悪化一途となっている。

 ドイツの主要経済研究所が今年の同国経済成長率見通しを従来の1.9%から0.8%に大幅に下方修正し、長期的なドイツ経済の上昇基調は終わりを迎えたとの見方を示した。

 一方、米国の経済指標は強弱がみられるものの世界的にみれば底堅く、米労働省が4日発表した週間の新規失業保険申請件数は市場予想に反して前週から減り1969年12月以来の低水準となった。

 3月8日に発表された2月米雇用統計では、非農業部門就業者数が予想の18.5万人増を大きく下回る2万人増と大幅に鈍化し、2017年9月の1.8万人増以来の低い伸びとなったが、3月は雇用者数の伸びが回復するとの見方が市場では多くなりつつある。市場の一部では17万5000人程度の増加、失業率は3.8%を見込んでいる模様だ。失業率の低さを踏まえると賃金上昇に圧力がかかるとの楽観視も台頭しつつある。2月の非農業部門雇用者数(NFP)が前月 差+2.0 万人と極めて低い伸びにとどまったため、3 月の動向に注目が集まっている。

 5日、習近平・中国国家主席が「中国と米国の貿易協議は大幅に進展した。貿易協議を巡る文書で早期決着を求めている」などの見解を示したことで、米中貿易協議の合意期待が高まり、投資家のリスク志向改善を意識したドル買いが観測され3月15日以来の高値を更新した。米中貿易摩擦懸念後退もドル上昇の追い風となっている。

 世界の景気減速から米経済が影響を受けない訳ではないが、足元では米FRBが金融引き締めに慎重なハト派色を強め、市場では利下げを織り込む声さえも徐々に増えつつある。それでも世界的にみれば底堅さが目立つ米経済を支えに、足元では消去法的なドル買いが優勢となりえる。5日発表の米雇用統計次第ではドル高観測を更に後押ししそうだ。