■昨夜のイベント振り返り

昨日は注目されるイベントが集中しました。

まず、ECB理事会では前回3月の理事会で市場参加者の想定以上にハト派なスタンスが示されましたが、昨日の理事会後のドラギ総裁会見では、マイナス金利見直しは少なくとも6月までのデータを見た上としつつ、欧州の契機に関しては引き続き弱いもののリセッションは想定していないと、全体として前回以上にハト派なイメージを与えました。

ユーロドルは、週間高値を更新していたところに総裁発言が入り下押ししましたが、もう一つの注目イベントである臨時EUサミットにおいて英国の離脱延期がまとまりそうであるとの観測からポンドとともに買い戻される展開が続きました。

EUサミット前に英国メイ首相は延期を求める書簡を送り、トゥスク欧州理事会議長(EU大統領)はそれを受け、合意なき離脱と短期離脱延期の繰り返しを避けるため、1年の延期をEU参加国に打診していました。一部の国には英国議会の対応に不信を持ち、フランスのマクロン大統領も短期延期を主張したようですが、結論は10月末まで半年の離脱期限延期となりました。

こちらは事前に議論の経過が聞こえていたこと、またEUにとっても合意なき離脱は選ばないだろうとの政治的な判断が優先され、ポンドは比較的底堅い動き、そしてユーロも直近ではポンドに引っ張られて底堅い値動きになっていたと言えます。

また米国のイベントとしてはFOMC議事録の発表がありましたが、年内の利上げ予想がゼロであること以上に踏み込んだ内容は見られず、臨時EUサミットの結果待ちを前に特段の材料とはされませんでした。

■EUへの制裁関税

ここまでは想定内の出来事と言えますが、新たな材料としてトランプ大統領がEUに対して110億ドルの制裁関税を課すとの発言が9日に出ました。この発言をきっかけにユーロドルは売りが入りましたが、米中通商協議が合意への大詰めの段階となってきたことから、次の協議相手であるEUに対しての協議前の牽制と考えられます。

米中通商協議においても当初の和やかなムードから一転して制裁関税の嵐となり、それを経ての現状の協議があることを考えると、米国とEUとの通商協議だけでなく、日米通商協議においても日本に対して制裁関税の話など事前のジャブを繰り出してから協議に入る可能性はあると言えます。まずはEUと米国との貿易摩擦の話が今後どのようになるのか、ブレグジット問題が先送りになった今、欧州の景気の弱さに加えて新たなユーロ売り要因として加わってきたと言えるでしょう。

■テクニカルな観点

材料的にはユーロにとっての悪材料が多いのですが、テクニカルな観点ではどうでしょうか。今週はユーロドルの週足チャートを見てみましょう。ユーロドルは日足チャートでは全く方向感がつかめない状態ですが、週足チャートではなかなか微妙な水準で止まっていることがわかります。

このチャートでは2017年安値以降の動きを示していますが、現在は2018年9月からのレジスタンスラインと同じく8月からのサポートラインで構成される下降ウェッジ(緑のライン)の中での動きになっていると考えられます。

そして今年に入ってから1.12割れが妙に底堅い印象ですが、これも2017年安値と2018年高値の61.8%押しが1.11866(緑の水平線)となっていることから、テクニカルにいったん買いが出やすい水準にあると考えると頷けるところです。

しかし、EUを取り囲む材料に明るいものが見られないことから、どこかでこの下降ウェッジを下抜け(赤の矢印)、1.10台後半を目指すような動きが出てくる可能性が高いと考えています。また、ユーロ安の可能性と今後出てくる可能性が高い日米通商協議前のリスクオフを考えると、ユーロ円の売りが一番面白い展開となるかもしれません。

※来週は1日早く水曜更新となります。