日米通商協議が終わり、今回は協議の範囲を決めたに留まり、具体的な話は次回以降となったことによる安心感もあるのでしょうか、ドル円は年初来高値をわずかに上抜け112.17レベルまで水準を切り上げました。ここから円安が一段と進むことには疑問を感じざるを得ませんので、今日はそのあたりを書いていきましょう。

■今後出てくる材料

朝方には日本の貿易統計が発表されましたが、昨年1〜3月期から対米貿易黒字が700億円ほど増え、1兆6700億円の黒字と発表されました。また今夜は米国から2月貿易収支の発表を控えています。今回の日米協議でも、これまでと同じではあるものの対日赤字を懸念しているとの発言はありましたし、毎年4・10月に議会に提出される米国財務省の為替報告書においても日本が監視リストから外れることは無いはずです。おそらくGW前に開催される2回目の協議では、より具体的な対日赤字削減の要求を求めてくるでしょうし、為替は財務省の管轄との発言が茂木経済財政相から出たことを考えると、為替条項についても米国側から提案があったものと考えて良さそうです。具体的な為替レートを示すものでは無いとしても、赤字削減と為替レートとを結びつける議論は円安への動きを止める要因となり、日本側の抵抗と米国側の強気姿勢とのぶつかり合いが出てくる中で、いつトランプ大統領によるドル高けん制発言が出ないとも限りません。水準的にはすでに黄色信号の水準にある前提で円相場を見る必要があるかと思われます。

■ポジションと時期的な問題

日経平均株価は22,000円台乗せと強い動きをしていますが、ドル円は112円台に乗せても売りも出てくる状態で、円一段安の動きにつながる気配は感じられません。比較的静かな動きが続く中で、円売りポジションが着実に増え、既にシカゴの通貨先物では1月のフラッシュクラッシュ前の水準に近づいてきています。日本の個人投資家だけでなく、世界的にドルが上がったところでは利食いの売りオーダーが上値を抑える要因となっていると考えられます。株価に調整が入るようなことがあれば、その時はリスクオフの動きには素直に追随するものと思われます。また時期的にも注意が必要です。今週末を挟んで欧米はイースター休暇、来週末から日本は10連休と世界的に市場参加者が減少し、市場の流動性が低下しやすい時期に入っていきます。必ずしも円高だけに注意というわけではありませんが、材料的にはより円高に振れるリスクには注意が必要です。

■ドル円週足チャート

ドル円の週足チャートをご覧ください。

これを見るとわかりますが、2015年の125円台からのレジスタンスラインは現在112円台後半を下降中です。また昨年高値と今年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しも112円台半ばに位置していることがわかります。今朝の動きから、もう少し円安の動きが続く可能性もあるものの、112円台前半は中長期的なドル売りを考える水準に入ってきたと考えることができそうです。