5月5日のトランプ大統領の対中制裁関税発言で主要な金融市場は大きくリスクオフに動くこととなりました。ドル円も発言前の週末3日につけた高値111.73から、13日には109.02と2円71銭、率にすると2.4%ほどの円高の動きとなっています。

■人民元は大幅安

最近はニュースにも出ていますので、皆さんもご存知だと思いますが、その間の人民元は大幅に人民元安(ドル高)となっています。主要通貨では軒並みドル安となる中での逆行ですが、かなり大きな動きとなっていますので、本日はまずオフシュア人民元の日足チャートをご覧ください。

5月5日の発言で人民元が急落(ドルが急騰)している様子がわかります。冒頭のドル円と同じ期間で比較すると6.73375から6.91923と約1855pips、率にして2.8%の人民元安です。対円ではそれぞれが逆に動いていますので、16.559から15.763へと4.8%の人民元安(円高)となりました。

制裁関税が影響していることは明白ですが、今後の米中通商協議の進展具合によっては第4弾のほぼ全ての中国製品への制裁関税適用となると、中国の産業界に与える打撃は相当なものとなり、さらなる人民元安も懸念されます。

■米国債売りによる介入

そうした中で、中国の米国債売りの話が出てきて、一部では米国に対して報復で米国債売りに動くという陰謀論的な話も耳にしますが、これは純粋に外貨準備である米国債を取り崩して、それにより人民元を買い支える動きのためと言えます。

これまで人民元安が中国の輸出産業に利するといった見方をされてきましたが、どの国も長期的には緩やかな自国通貨高が望ましく、しばしば長期的なドル高は米国の国益と米国の財務長官が発言することからも理解できるところです。

これは中国にとっても同様で、緩やかかつ一時的な人民元安は望ましくとも長期的な人民元安の流れを作ってしまうことは懸念材料ですし、現在の6.9台は水準的にも既に警戒水域に達してしまったと考えられます。

また中国は、柔軟に米国債の保有残高を変化させています。次のチャートはオフシュア人民元の週足チャートに、中国が保有する米国債が減少した時期をラインマーカーで着色したものです。

こうして黄色のラインマーカー部分を見ると、月単位で微調整をしていることがよくわかりますし、オレンジ色のラインマーカー部分のように人民元が長期的に弱くなっている局面では米国債の保有残高も継続的に減少させていることもわかります。

直近では3月までのデータしか公表されていませんが、7.0の大台は中国にとってもかなりクリティカルな水準ではないかと考えられ、しばらくは中国による米国債の保有残高は自然減も含めて続く(ピンクの部分は予想)と考えることができそうです。

(参考)米国債残高は米国財務省の統計サイトからダウンロード可能
https://www.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/tic/Pages/ticsec2.aspx