21日の欧州市場で、トルコ中銀による「一時的な引き締め」の解除を受けて18.30円付近から18.06円まで急落したが、その後は他クロス円同様に円売りが強まり18.20円台を回復した。トルコ中銀はリラのスワップレートも25.5%から24%に引き下げ、通貨リラの防衛のために停止していた1週間物レポ入札を金利24%で再開した。トルコリラは6日には、昨年10月以来となる 1 ドル=6 リラの節目を突破し、9日には一時 1ドル=6.2リラ台半ばまでリラ安となった。トルコ中央銀行は、1週間物レポによる流動性供給を停止することで、市中銀行の限界的な資金調達金利を金利コリドーの上限である翌日物貸出金利(25.50%)へ引き上げ、事実上の金融引き締めを実施した。また、トルコ政府は、大規模な外貨買い(10万ドル相当以上)について決済を翌日とするよう銀行に指示した。

米国との政治対立や地方選挙後の政治的混乱などでリラは売りが優勢で、トルコ政府は通貨防衛措置を打ち出している。先週は、リラ売りに対する0.1%の課税を約10年ぶりに復活させた。

しかしなら、トルコリラが安定すると期待するのは時期尚早である。トルコに関する最大の懸案は、ロシア製ミサイルS400の導入を巡る米国との外交関係問題であり、現時点でその緊張緩和には程遠い状況だ。トルコもロシアもS400の導入は決定事項で、7月にもトルコへの納入が始まる。トルコが S400を正式に導入する場合、米国はトルコに対して広範な経済制裁を科すことが可能としており、制裁となれば、両国関係は更に悪化する可能性が高い。トルコはNATOの加盟国であり、米国にとってはユーラシア戦略を展開する上での要衝と位置付けられている。そのため、S400 を導入しても米国は効果のトルコに対して厳罰を下すことはない、との楽観的な向きも一部市場に残っているが、S400 を導入するトルコに対して米国が甘い対応を取れば、国際的な安全保障体制が動揺する可能性が出てくる。経済制裁の実現性が高まってくれば、通貨危機が再燃する可能性が台頭する。米国とトルコは何らかの歩み寄りをするだろうが、トルコ中銀の外貨準備高の減少など、トルコ金融市場のリスクが低減することには至らないことも想定しておくべきかもしれない。