29日の米国債券市場で10年物国債利回りが一時2.2081%と2017年9月以来の低下(価格は上昇)となった。4営業日連続の長短金利の逆転(逆イールド)が進み、景気後退を意識する投資家が徐々に増えつつある様だ。世界の景気減速への懸念は、米国の金利の動きに表れているともいえる。安全資産の米国債に買いが集まり、米原油先物の期近物は世界的に需要が細るとの見方が台頭し、一時2カ月半ぶりの安値を付ける展開となった。ニューヨークダウは、前日比221ドル36セント(0.87%)安の2万5126ドル41セントと2月11日以来ほぼ3カ月半ぶりの安値で取引を終了。米中貿易摩擦の激化が世界景気の減速につながるとの警戒感から幅広い銘柄が売られ、下げ幅は一時409ドルまで広がり、心理的な節目の2万5000ドルを取引時間中としてはほぼ3カ月半ぶりに割り込んだ。

米中貿易摩擦の長期化が今後世界経済に悪影響を浸透させるとの見方も台頭し、米連邦準備理事会(FRB)による年内利下げを見越す投資家が増えつつある様だ。

中国政府は、米国が中国からの輸入に頼るレアアース(希土類)の禁輸をちらつかせ始め、投資家の間では、中国が対米強硬姿勢を高めたと受け止められた。

トランプ米大統領は2020年の大統領選を前に米中貿易協議で中国への強固な姿勢を示しつつ、景気刺激のための利下げ圧力を一段FRBにかけてくるの見方も増えつつある様だ。

米中貿易摩擦に関しては、トランプ米大統領が米中通商協議の次回の予定もなく行き詰っていることを示唆し、6月28日29日の大阪サミットでの米中首脳会談に向けたカウントダウンが始まっており、関連ヘッドラインに要警戒となる。一方、中国が報復措置として米国が80%依存しているレアアース(希土類)の対米輸出制限を検討しているとの報道から、29日の米7年債入札不調が示唆する米国債売却への警戒感が高まりつつもある。

今後、10年債利回りの次の節目は17年9月に付けた2.01%前後が意識される。米中貿易摩擦の更なる悪化で、米指標の悪化継続となれば、米利下げが現実味となる可能性もありそうだ。