7月2日に開催された欧州連合(EU)臨時首脳会議において、欧州中央銀行(ECB)の次期総裁にフランス出身のクリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が指名されました。また米トランプ大統領がクリストファー・ウォラー氏とジュディ・シェルトン氏の2人を連邦準備制度理事会(FRB)の理事に指名する意向を明らかにしました。ウォラー氏およびシェルトン氏は利下げを支持する可能性が高いと見られており、この二つの報道から週初から売られていた円が買われました。今後は本日夜に発表される米雇用統計と7月31日のFOMCに注目が集まります。

世界の中央銀行が緩和の方向性を示唆し始めたことで円は再び最強通貨の一つとなりそうです。ラガルド氏がECB次期総裁に指名されたことは大きなニュースになりましたが、それだけではなくカーニー英中央銀行総裁の発言により利下げ観測が高まったことや米トランプ大統領が利下げを支持する可能性が高いと見られているウォラー氏およびシェルトン氏を連邦準備制度理事会(FRB)の理事に指名する意向を明らかにしたことも大きく取り上げられました。市場が米国利下げを価格に織り込むよりも早く、米国長期債の利回りは下落しました。そのためベンチマークである10年債利回りは2%を下回り2-10年債はフラット化が進みました。

EUトップおよびECB総裁をめぐる抜け目のない争いは幕を閉じ、総裁候補者リストの有力候補には選ばれていなかったサプライズ人事が起こりました。この急展開が起こったのはラガルド氏がハト派寄りでECB総裁として周りの便宜を最大限に調整するハト派寄りの政策を積極的に行う事が期待されたからと思われます。しかし、ラガルド氏は経済学者でもテクノクラートでもありません。そのため政治的手腕が期待され、ECB理事の強力なリーダーとしてこの先問題となってくるような政策に重要な決定ができるようECBを変革していくことが期待されたのではないかとみています。EU首脳陣は今後もこれまでの取り組みに囚われない手段や方法で意思決定していく必要があり、その点でラガルド氏は上手くやっていきそうです。ラガルド氏指名の報道で市場は思った以上に素直にユーロ売りに反応しましたが、ここからさらにユーロ売りが進むのか、ここで踏みこたえるのかに注目しています。

カーニー英中銀総裁が7月2日に発言し、世界的な貿易戦争のほか、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱に起因する英経済に対するリスクは増大しており、景気減速に対応するために若干の支援が必要になる可能性があるとの考えを示しました。市場はこの発言に反射的に反応してGBPUSDは重要なサポートエリアである1.2500近辺まで下落しました。

ハト派寄りのドラギ総裁がより政治色が強いラガルド氏に総裁を譲り渡すのでユーロは引き続き売り圧力にさらされると想定されます。特に対円に関しては世界的に利回りが急落するような際には大きくユーロ安になる可能性があります。ドイツ10年債の利回りが最安値をつけたこともあり、EURJPYは121.00の少し下にある安値に近づいています。ここからさらに下値を追っていくには世界的に長期債の利回りがさらに低下する必要があると見ています。

【EURJPY 日足 SMA21 SMA200 EA10】