■SAXO TradingView

最初に今回の台風で被害を受けられた方に心よりお見舞い申し上げます。

SAXO TradingViewのチャートは多くのプロダクトをチェックできること、テクニカル指標や描画ツールが豊富なことから、チャートの分析には欠かすことができないものとなっています。当レポートにおいてもTradingViewのチャートを利用しています。概要は以下のページからご覧ください。

TradingView概要

■先週の振り返り

先週はトルコリラ円(TRYJPY)とドル建て金(XAUUSD)を取り上げました。その後の動きをフォローしておきましょう。

(1)トルコリラ円

トルコリラ円は8月のフラッシュ・クラッシュを安値にその後9月末まではじり高の展開を辿りましたが、直近では「政治的にはシリア問題、ロシアからのミサイル購入と、いつ米国がトルコに対して制裁を課してもおかしくはない」という状況の中で、議会からの突き上げも大きく、トランプ大統領もついに制裁についての発言を行いました。

しかし、トルコリラ円は18.20以下が思いの外底堅く、18.181を安値に18.50水準へと戻してきました。ただ、18.50より上での売りも見られ値幅自体は比較的狭いままでここまで来ています。テクニカルには4時間足程度で見るとダブルボトムを完成し、18.53レベルをネックラインとするチャートとなっていますので、このネックラインを上抜けた場合には、ごく目先でいったん買いが強まることも考えら得れます。

(2)ドル建て金

ドル建て金は長期的な上昇トレンドには変化はないものの「9月高値以降は高値安値ともに切り下げる下降チャンネルの中での推移」となっていて、先週時点では「かなりレジスタンスに近づいてきた」という状況でした。

米中通商協議が部分合意となったことで、このレジスタンスで反落してはいるものの、その後中国側からは更なる協議を求めるなど、署名に至るまでかなり時間がかかりそうな状況となってきました。そうしたこともあって下降チャンネル内での動きは継続ですが、上抜けした場合の1600ドルを試す可能性が消えたとは言い切れません。

米中間の動向から目が離せない状況はしばらく続きそうです。

■今週の注目銘柄

今週は本日からのEUサミットでいよいよブレグジットに合意が期待され大きく上昇しているポンド円、そして商品市場からはあまり馴染みは無いと思いますが、パラジウム(ドル建て)を取り上げます。

パラジウムは身近なところでは自動車の排気ガス浄化のために三元触媒コンバータの内部で使われています。三元というのはプラチナ、パラジウム、ロジウムです。ちなみにガソリン車ではパラジウムが多く使われます。最近では電気自動車などが増えてきてはいるものの、工業製品用素材として重要なものであることに変わりありません。

ただ、パラジウムと言うと知っている人も今は多くないかもしれませんが、2000年にTOCOMで価格急騰事件があり、多くの個人が大損害を出し最終的に取引所主導で強制決済となった事件があります。今でも商品相場としてのイメージはあまりよくないものがあります。

(1)ポンド円(GBPJPY)

まずポンド円ですが、今週19日が英国の離脱合意期限ですが、この日までに合意できない場合、英国議会はEUに対して離脱延期を求めるという議案が可決されています。離脱推進派のジョンソン首相としては、何が何でも離脱するというスタンスですが、交渉面では対外的にはEUとまた国内的には北アイルランドと協議を繰り返し、先週あたりからようやくギリギリの合意という流れが見えてきました。

昨日はジョンソン首相が閣僚に合意は近いとの見解を示し、今日明日の開催されるEUサミットでの離脱合意が現実的となったことで、ポンドは大きく買われています。振り返ると、ジョンソン首相の8月欧州歴訪時にメルケル首相との会談で代替案という話が見えてきたところから既にポンドは底打ちして、上昇に転じてきたことがチャートからもわかります。日足チャートをご覧ください。

既に8月で底を売ったと考えると、長期的には2018年高値156.614と今年の安値126.553との半値戻しにあたる141.583が今回の離脱合意によるターゲットと考えても良いでしょう。9月安値からの上昇N波動を想定したフィボナッチ・エクスパンションのうち127.2%エクスパンションも141.978と近い位置にあり、141円台後半を見た場合には、いったん利食いが出やすいのではと考えています。

というのも、合意自体は好材料ですが離脱によって英国が経済的に今後良い方向に向かうとは考えにくいですし、離脱後のEUを含めた諸外国との協定、条約といった手続きが今後は待ち構えることとなりますので、政治的にも今後も長い期間に渡って様々な問題を解決しなくてはならないことを考えると、典型的な材料出尽くし相場となる可能性も考えておいたほうがよいように思えます。

(2)パラジウム(XPDUSD)

パラジウムは上述した通りで、主にガソリン車の触媒に使われています。そして、フォルクスワーゲンのディーゼル車で環境性能をよく見せるために不正がなされていたこと、他の自動車メーカーでも同様の不正があったことから消費者のディーゼル車に対するニーズが減り、ガソリン車へシフトしたことがパラジウムの価格高騰を起こした主要因と言えます。

まず、代表的な貴金属との比較として、ドル建ての金、プラチナ、パラジウムの比較チャートをご覧ください。

赤がパラジウム、青が金、緑がプラチナですが、この3年間でパラジウムが3つの中で最安値から最高値へと急激に価格を切り上げていることがわかります。ただ、あまりにも上昇のスピードが速いことや、投機的な資金もあ言っているであろうことを考えるとそろそろ警戒水域に入ってきているように思えます。パラジウムだけ日足チャートで見てみましょう。

あまりにも上昇が続いているため、ここでは最近の上昇N波動のうち5月安値を起点としたフィボナッチ・エクスパンションを考えてみました。すると127.2%エクスパンションが1809.4ドルとなっていて、大台の1800ドルが短期的なターゲットとなっていると考えてよさそうです。ここから1800ドル前後に向けての動きは、短期的に目先の高値をつける可能性があるのではないかと見ています。

■来週の注目イベント

先週の米中通商協議、今週のEUサミットと大きなイベントをこなしたことで、ここからはやや重要度が下がりますが、明日は中国の7〜9月期GDPの発表があり、前回から更なる減速(前年比+6.1%)が予想されています。それよりも悪いようであれば、今後の世界経済に対する見通しも暗いものとなりますので、まずはここを押さえておきましょう。

そして来週ですが、24日にECB理事会とドラギ総裁の会見があり、前回決定された包括的な緩和政策に対して、何か新しいコメントが聞かれるかどうかが注目されます。ただ、今回の注目度は前回に比べると小粒です。また米国の経済指標も連日のように発表されますが、再来週のFOMCに向けて追加利下げを見極めるため、結果次第では細かく上下する可能性はあるでしょう。

ということで、来週は重要なイベントは少ないのですが、まずは今日明日のEUサミットでのブレグジット議案を注視です。