10月31日(木)早朝に発表されたFOMCでは予想よりもタカ派よりの内容が発表されましたが、フェイスブックやアップルが発表した決算の内容が事前予想より良かったことを材料に株式市場は最高値を更新しました。パルエルFRB議長は米国景気動向は良い水準であると見ているように思えますが、株価は背伸びをしている状態にも見受けられいくつかの数値は2000年の状況と似てきているように感じられます。ADP雇用統計で前回値を下方修正しておりこれは悪い知らせとなりました。また、6か月平均は2010年以来最低となりました。今後3か月が株投資家にとっては非常に重要な期間になるでしょう。


金利以外の何かしらが株価を下支えしているかのように好調な株式市場を背景に、FOMCの発表内容はタカ派よりとなりました。フォーワードガイダンスが発表されると市場関係者による12月に開催予定の次回のFOMCでの金利据え置き予想がこれまで70%付近だったのがほぼ80%近い水準まで上昇しました。市場は株価上昇、ドル安の反応を示し、S&P500は過去最高値を目指す動きを見せました。会見でパウエル議長は、米経済は「良い状態」と言いましたが、本当に米経済や株価は「良い状態」なのでしょうか。

S&P500先物 つなぎ足(週足)
出所: SaxoBank Group

我々が何度も繰り返し指摘してきたように過去18か月の世界経済は減速しており中国国内でのクレジットトランスミッションは崩壊しており、株式のバリュエーションは実際の利益成長より何か他の効果により支えられていると考えられます。また強いドルは新興国の資金調達コストを押し上げていることを意味します。我々の見方ではFEDは、株式市場とフェデラル金利先物の二つがここ最近の経済動向と一致していないため、先回りをしてイールドカーブを調整することはないだろうとみています。 通常我々はS&P500のバリュエーション評価を9つの指標を使ったマトリックスを使って分析しますが、過去のデータに基づいた直近のEV/EVITDAを分析する必要性があると思います。チャートからわかるように株式バリュエーションはドットコムバブル時の水準付近で推移しています。そのため長期投資を始めるのに理想的なタイミングではないかもしれません。一つ必ず考え始めないといけないことは前例のないバブル相場をFEDの政策は導き始めているかどうかということです。

S&P500指数の月足EV/EVITDA
出所:ブルームバーグのデータを元にSaxoBank Groupが作成

先日のFOMC政策金利発表の次に重要な経済データはADP雇用統計の雇用者数の変更で、10月は12万5千人と予想の11万人を上回りましたが、9月の数値が改定となり、13万5千人から9万3千人に下方修正されました。足し合わせた数値は事前予想よりも悪い数値となります。6か月の平均値は11万2千人と2010年9月以来最低の水準になっており今年の米国の労働市場のモメンタムの低下は2011年に経済が減速したことを彷彿させます。労働市場の後退が消費者のマインドを変え始める懸念があるため、米経済は重要な時期に差し掛かっています。この種の転換は急に起こることがよくあり、中央銀行が政策によって調整することを困難にします。


ADP雇用統計の変化
出所:ブルームバーグのデータを元に SaxoBank Group が作成

ここ最近噂されていたフィアットとプジョーの経営統合が現実になりました。経営統合により両社は370億ユーロのシナジー効果を得るとみられており、それぞれがお互いの地理的な部分やブランドイメージを補完すると見られています。フィアットの株主は総額550億ユーロ相当の特別配当を受け取る予定です。両社はお互いに50%ずつ株式を持ち合います。中国の自動車会社が力強さを見せ始めており世界の自動車産業のが進んでおり、また電気自動車への転換コストがかさむ中でこの統合は今後正しい選択であったことがわかるかもしれません。

米国株のセンチメントを改善しS&P500を最高値に押し上げたのはFacebookとアップルの好決算でした。フェイスブックは増収率が29%、1株利益成長率が21%とどちらも市場予測を上回る力強い決算発表となりました。フェイスブックの決算発表とほぼ同時にツイッター社が政治的広告は今後は許可しないという方針を発表し、フェイスブックにも同様の対応、または少なくとも監視を強化するよう圧力をかける動きをみせました。フェイスブックはEBITDAマージンが48.7%下落しており2016年第一四半期以来最低の水準となっているためこれが炭鉱のカナリアとなる可能性があります。

アップルの決算発表では一株当たり利益は予想を上回っていましたがiPhoneの収益は9%、iMacの収益は5%下落していました。しかし、これよりも重要なのはアップルストアでの売り上げ等のサービス収入やウェアラブルデバイスの収益が前述の下落を補完していることです。また、今回の発表で最もポジティブなニュースだったのは中国市場での収益の鈍化が落ち着きを見せており、中国の消費者がアップル製品を完全に排除しようとはしていないことが示唆されたことです。