■SAXO TradingView

SAXO TradingViewのチャートは多くのプロダクトをチェックできること、テクニカル指標や描画ツールが豊富なことから、チャートの分析には欠かすことができないものとなっています。当レポートにおいてもTradingViewのチャートを利用しています。概要は以下のページからご覧ください。

TradingView概要

■先週の振り返り

まず、先週扱ったドル円(USDJPY)、NY原油(WTI)のその後の動きを見ておきましょう。

(1)ドル円(USDJPY)

ドル円はリスクオンで株高とともに円安へと動いてきましたが、12月に入りトランプ大統領が合意時期の大幅後退の可能性に言及したり、ロス商務長官がこのまま進展が無い場合には15日に関税を引き上げを示唆したりと、これまでの明確な根拠の無い楽観的見通しに冷水を浴びせることとなりました。

ドル円は月曜には一時109.729の高値を付けましたが、昨日は108.430の安値をつけました。昨日欧州時間に米中合意が近いとという観測記事に反応し、買い戻しも出ていますが、これまでのリスクオンで積み上がった円売りポジションも多いため、現状では109円台では売りたい向きが徐々に増えてきている印象です。

先週のコメントで書いた「もう一度買いが入ったとしても110円の大台は試せないという展開」という流れになってきていると思いますので、当面は戻り売りが強く下値のメドとして108円割れの水準も考えておいたほうが良いという見方をしています。

(2)NY原油(WTI)

NY原油はテクニカルに「10月安値から細かく上下しながらも上昇トレンドを続け」、「上昇チャンネルのサポート(今週は56ドル前後)へといったん下押しし、改めて上昇機会を探る展開になるのではないか」との見通しを示しましたが、ほぼそのとおりの動きとなり、55ドル台前半は見たものの58ドル台へと急反発しています。

材料的には本日開かれるOPEC総会に向けて、いったんポジション調整の売りが入った後に、協調原産での合意が見られるのではないかとの思惑による買い戻しです。明日には非OPECも加えたOPECプラス会合も開かれますので、今日明日の動き次第では一段高の可能性はありえます。逆に減産合意出来なかった場合には反落しますが、いまのところその可能性は低い様子です。

■今週の注目銘柄

今週はNYダウ(DJI、現物の指数)と豪ドル円(AUDJPY)を取り上げます。

(1)NYダウ(DJI)

NYダウは、他の株価指数に遅れて史上最高値を更新し、直近では感謝祭前の11月27日につけた28175が高値となっています。感謝祭の休み明けの金曜にはやや押しての週末クローズとなりましたが、月曜のトランプ大統領とロス庶務長官による発言、そして同じことが火曜にも繰り返されたことで3日には27325.1の安値をつけていますが、昨日は27727.5ドルまで戻しています。

NYダウだけでなく米国の主要株価指数はFRBによる緩和と米中通商合意期待を背景に史上最高値を大きく更新した11月となりましたが、FRBによる緩和はトランプ大統領がいくら非難したとしても現状の米国経済を状況を考えるとこれ以上の緩和は無いでしょうし、実際にパウエル議長も同様の発言を行い、現時点では追加利下げの可能性は無い見通しです。そういう意味では緩和による株高は既に完全織り込み済みというところだと思います。

また米中通商協議も表面に出てきている材料からだけの判断では進展はしていそうだが、実際の署名は年明け以降ではないかという見方がニュートラルであると思いますし、これまでは株式市場参加者を中心にかなり楽観的な見通しによるリスクオンの動きを続けてきたと考えると、こちらも既に織り込み済みで、ここから改めて買いの動きが出るには、15日に関税の発動が無いことを確認してからになるといえるでしょう。ここで発動が無ければ、ロス商務長官の発言通りで何らかの進展があり、合意に向けて協議が進んでいるという見方をしても良いでしょう。

ただ、ここに来てブラジルやアルゼンチンに対する鉄鋼・アルミ関税発動、NATOサミットでドイツの拠出金増額の材料に貿易摩擦を引き合いに出すなど、米国政権の動きは貿易摩擦で妥協しない姿勢が強まってきたと思え、あまり楽観的にならないほうが良いと個人的には考えています。

テクニカルにはどうか、日足チャートをごらんください。

現状は6月安値からの大きな上昇チャンネル(緑の太線)の中での推移となっていて、上側は7月高値と11月高値を結んだラインとしてもよさそうです。そして、10月安値からここに至るまでの上げに対して調整らしい調整も入っていないことを考えると10月安値と先週高値とのフィボナッチ・リトレースメントを考えて良さそうです。今週の安値はほぼ38.2%押しの水準で止まっていますが、半値押しにあたる27000ドル水準を試す可能性は高いという見方をしています。

(2)豪ドル円(AUDJPY)

中国の景気がグローバル経済に与える影響は大きく、米中間の貿易摩擦が結局は米国まで緩和に転換することに繋がりましたが、資源国として中国への輸出が大きい豪州にとっては米中通商協議の行方は他人事ではありません。

秋以降の豪ドル円は上で見たNYダウ同様に年初来安値69.96にから上下しながらもきれいな上昇トレンドを続けていますが、いっぽうで豪州経済は中国の影響を主要因に国内では雇用と所得の伸び悩みが見られ、今年は6月、7月、10月と3回の利下げを行い、現時点では政策金利が0.75%と過去最低の政策金利となっています。

エコノミストの多くは、いまだ豪州経済は回復しているとは見ておらず、来年にはさらなる利下げの可能性もあるという見方をしています。こうしたファンダメンタルの弱さが長期的に豪ドル安を招いているのですが、豪ドル円は2017年秋以降2年以上も間、下降トレンドを続けています。ここでは週足チャートをご覧ください。

チャートを見るとわかるように2017年9月高値が90.308、今年8月安値が69.962と20円以上もの豪ドル安・円高となりました。現在は昨年12月からのレジスタンスライン(緑)が効いていますし、8月安値からは大きな下げトレンドの中での調整の上昇チャンネル(ピンク)が、長期レジスタンスラインにかなり近づいている状況です。

豪ドル円の命運も米中通商協議の進展具合次第ではありますが、合意となるとレジスタンスの上抜けで長期のトレンド転換の可能性もありますが、合意までの道のりが長引くと反落して下降トレンドに逆戻りという流れになるでしょう。個人的には米株同様に、調整の売りが出る可能性のほうが高いのではないかと見ています。

■来週の注目イベント

来週は12日に英国総選挙、そして週末が15日となり米国による対中制裁関税発動の有無がわかりますので、年末に向けての大きなきっかけを作る週後半ということになります。逆に木曜までは動きにくいとも言えるのですが、現時点でのコンセンサスは英国総選挙は与党保守党が勝利して合意ある離脱となると見られます。

これよりも気になるのが15日までに米中協議に進展が見られるのかどうかです。ロス商務長官の発言通りとするならば、関税発動の可能性も否定できないわけですから、週末に全市場参加者の注目が集まっていることは間違いありません。