■お知らせ

先週から木曜レポートもSaxoTraderPROを使っています。SaxoTraderPROの詳細は以下のページをご覧ください。

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また、火曜レポートは前回24日が最終で、1月からは木曜レポートのみとなります。なお、来週は年末年始のためお休みさせていただき、年明け初回は1月9日となりますのでご了承ください。

■先週の振り返り

まず、先週扱ったポンド円(GBPJPY)とユーロ円(EURJPY)のその後の動きを見ておきましょう。

(1)ポンド円(GBPJPY)

他の主要通貨の動きが鈍い中、ポンドだけは他の通貨に対して大きな動きが続いていました。先週執筆時点では、テクニカルには強い地合いを維持しているものの、トレンドラインを抜けた水準に押してきていることから「このラインを下回る動きが出てくる時」、「テクニカル指標が売りに転じる際」には長期的にポンド円が売りに転じていく可能性を指摘しました。

その後のポンド円は週足ベースではいまだ上昇トレンドに大きな変化は見られないもののザラ場チャートでは続落を続け、今週に入り安値141.131まで水準を切り下げました。今朝は買い戻しも出ていますが、当面は戻り売りが出やすい流れが続く展開と考えられます。そうした動きを何度か繰り返しながら、長期的にもポンドの下降トレンド入りという動きに転じる可能性は高そうです。

(2)ユーロ円(EURJPY)

ユーロ円は週足レベルではオーサム・オシレータが長期パラボリックと同じ方向に転じ上昇トレンドの確定を見ることとなりました。その後はクリスマスも近づきあまり大きな動きは見られませんが、底堅い展開が続きやすい地合いとなっています。

ドル円の110円の大台が重たいこと、欧州通貨内ではポンド円が弱いことなどもあり、積極的に買いという展開ではありませんが下値も限定的なため、ポンド円の売りが収まる場面ではユーロ円の買いが入りやすいというイメージでしょうか。

■今週の注目銘柄

今週はトルコ円(TRYJPY)とユーロドル(EURUSD)を取り上げます。

(1)トルコ円(TRYJPY)

トルコ円は、米国議会がトルコに対する制裁を可決して以降、米国はトルコに対しての圧力を強める傾向が強いのですが、これは多分にトランプ大統領がトルコに対してこれまで寛容な姿勢を見せてきたことに対する反発という面があります。

発端はトルコによるロシアからのミサイル購入ですが、それも元をたどると米国が売らなかったということがあるため、トランプ大統領も容認姿勢を示してきたわけです。ところが、米国議会では民主党だけでなく共和党にもトランプ大統領の態度に反発する議員も多く、トルコの制裁に関しては下院でも上院でも可決となりました。

しかも直近の制裁内容はロシアからトルコを経由して欧州へとつながるパイプラインの建設に関わる会社に対しても制裁といったことが含まれ、これにはトルコも同国内の米軍基地を閉鎖するといった反発が出たり、欧州からも制裁の方向が違うと避難されたりで、それが先週のトルコリラ安につながったということになります。

そして気になるのは、トルコリラ円がじり安の動きとなる中で、国内個人投資家のトルコリラの買いポジションが着実に増えてきていることです。2019年の年始はトルコリラ円をきっかけとしたフラッシュ・クラッシュがありましたが、そのときはドル円ではドル安、ドルトルコリラではドル高と両極端な動きが見られました。

トルコリラのじり安の中での買いポジション増加が年末を前に起きているという動きは気がかりです。テクニカルにも見てみましょう。こちらは日足チャートです。

(チャート提供:サクソバンク証券)

最近のトルコリラ円は19円台(ラインマーカー)での上値が重たかったのですが、先週の下げで10月安値の18.151(ピンクの丸)を視野に入れる動きになってきたと考えられます。そして、ここを抜けると次は8月のフラッシュ・クラッシュでつけた15.916(ピンクの丸)まで目立ったサポートはありません。

材料的にもテクニカルにも引き続き上値の重たい地合いが続きやすいと考えられます。年末年始を前にいったん買いポジションを軽くしておくことも考えると良いかもしれません。

(2)ユーロドル(EURUSD)

ユーロドルは今年は非常に静かな1年でした。ドル円の年間値幅が7円55銭と変動相場制移行後の最低値幅を大幅更新しましたが、ユーロドルはもっと狭くわずか685pipsです。当然、ユーロスタート後の最低値幅を大幅更新となっています。

そうした中でユーロドルは長期的な下降トレンドを続けていますが、今年は欧州の景気の弱さに加え、不透明なブレグジットの状況や各国における既存政党の地盤沈下、そしてECBが包括的な金融緩和に動き、11月からはQEも再開と完全に緩和局面に逆戻りです。

そうなると、ユーロはどうしても上値が重くなり、ユーロ売りドル買い、そしてその買ったドルが米国株へと資金移動するといった流れが年後半は続いてきたと思われます。いっぽうで、リスクオンの動きのときにはユーロ円では買いも出る動きが見られましたし、米国ではドル高に対する懸念もあって振り返るとレンジは狭かったということになります。

ただ、いまの状況を考えると当面はユーロは戻り売りのスタンスが続きやすいと言えますが、テクニカルにもユーロは上昇に転じる可能性がかなり低そうなチャートとなっています。こちらは週足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

チャートを見てもわかりますが、左端(2018年半ば)から右端まで、一貫した下降トレンドなっていて、サブチャートに示したオーサム・オシレータ(AO)も一度もプラス圏に浮き上がっていません(ラインマーカー)。少なくともAOがプラスに転じるまではユーロドルは変えない状況にあると見てよいでしょう。

■来週の注目イベント

来週は年末年始となり、国内では30日に大納会のあとは6日まで休みとなりますが、為替市場は元旦のみが全世界共通の祝日となりますので、年内は31日まで取引が続けられますし、年明けも2日から再開です。

そうした中でやや気になるところとして、年末年始で市場参加者が減少し流動性が低下する中で、今年も見られたような急変動が起きるリスクがあります。さすがにフラッシュ・クラッシュとまではいかないでほしいものですが、AIによる取引が米国の株式市場で始まった頃によく見られた急変動が、最近では為替市場で同様のことが起きているようにも思えます。

一度動きが出始めると、材料抜きでとことん突っ走っていくような値動きは人間のトレーダーを相手にしているようには思えないものがあり、インターバンクに長年いた私としては強い違和感を感じます。そうは言ってもマーケットは常に正しいわけですから、そうした動きを否定はできません。ただ、年末年始に無理にポジションを取る必要もありませんので、自分の身は自分で守るというリスク管理は平時以上に持っていただきたいと思います。

それでは、よい年をお迎えください。