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SaxoTraderPRO概要

■先週の振り返り

先週はS&P500(US500.I)とVIX関連CFD(SVXY)を扱いました。その後の動きを見ておきましょう。

(1)S&P500(US500.I)

先週、今週とS&P500は、踊り場を挟みながらも下げ止まること無く本日の東京市場でも大幅安を演じています。

先週のコメントでは「上値の余地としては61.8%戻しの3189.39が限界点として見ていますし、逆に上がりきらない場合には3000の大台を再度試しに行く流れ」を示しましたが、3000の大台どころかあっさりと2月末の安値も割り込み、2600ドル目前の水準にまで下がってきています。

昨日はWHOが新型コロナをパンデミックとし、今朝のトランプ大統領による国民向け演説は中身に乏しいだけでなく欧州からの渡航制限を含み、一段と人や物の移動に問題を生じる事態となってきました。既に緊急利下げの効果は失われ、よほどの景気対策が出てこないと底が見えない状態になってきたと言えるでしょう。

(2)VIX関連CFD(SVXY)

VIX関連CFDのSVXYはVIXと逆に動くインバース型ETFで、株価下落時にはVIXが上昇しますのでSXVYのETF価格は下落します。上述の通りS&Pが更なる下げを演じたことでSVXYも下落しました。

ただ、SVXYはNY時間のみ取引が行われていますので、本日の東京時間の下げはまだ影響が出ていません。現行水準でNY市場に入る場合には9日安値(35.560)を割り込んでいくこととなります。ここからNY市場までのS&P500のCFDの動きには注意が必要です。

■今週の注目銘柄

今週はNYダウ(US30.I)とNY原油(WTI)を取り上げます。

(1)NYダウ(US30.I)

NYダウの動きもS&P500とほとんど似た動きをしていますが、今年に入ってから2月中旬までは既に新型コロナウイルスの感染拡大が見られ、世界景気への悪影響が懸念されていたにも関わらず上昇を続け、CFDの価格では2月12日に29566.1と史上最高値をつけました。個人的にはここまでの上昇相場に皮肉をこめ「理由なき楽観」と言っていました。

そして高値から2月21日までは高値圏でのもみあいとなっていましたが、週明け24日からは怒涛の下げ相場となり、リーマンショック児を超える週間最大下げ幅を記録することとなったのです。このあたりはようやく「現実を直視」した時期と言えるでしょう。

FRBによる緊急利下げや来週のFOMCでの追加利下げ思惑もあり、3月6日までは上値は重いものの持ちこたえていましたが、今週に入ってからは底割れ、本日のトランプ大統領の演説後には22367.7まで下げています。高値からの下げ幅は7198.4にも達し、率でも24.3%と完全に調整相場入りとなりました。

新型コロナウイルス自体は、春を過ぎれば暖かくなって感染者が急速に減少していくものとかんが得られますが、南半球での感染者が出てくると南半球は逆に冬に向かっていく季節となり、ここで食い止められるかどうかが今年春以降の世界経済を大きく変えていく要因となりそうです。

テクニカルな観点から月足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

既に大きく下げていますが、仮に更に下げるとしたらどの水準がターゲットとなるのかはやはり2018年12月安値21450.6が大きな節目になりそうです。そして、同水準までは下げる可能性があると同時に、この安値より下には、長年上げ続けてきたチャートを見てもわかる通りで、もはや目立ったサポートが無いため、NYダウの命運を握る水準でもあると言えそうです。

(2)NY原油(WTI)

NYダウもすごかったのですが、NY原油はさらに激しい動きを見せた一週間となりました。先週6日金曜の終値が41.54だったのに対して、週明け9日月曜の安値は27.32と14.22ドルの暴落、率にしたら34.2%にも達します。NYダウの史上最高値から本日までの下げ以上の暴落をわずか1営業日で見たのですから驚愕としか言えません。簡単に背景を説明しましょう。

先週木曜のOPEC総会では今月末に期限を迎える協調減産の継続を話し合い、翌金曜のOPECプラス(OPEC・非OPECによる会合)では、協調減産の協議が決裂し4月以降の原油増産による価格下落が危惧されましたが、もっとも効いたのは週末のサウジアラビアによる発表です。

サウジアラビアは協調減産決裂を受け、4月からの増産だけでなく産油能力の最大量にまで増産を続けるという、これまでとは180度異なる方針転換を打ち出しました。この動きは他国に比べて圧倒的に産油コストが低いサウジアラビアが低価格と大増産で世界的なシェアを取りに行くということになります。

これまではOPECを中心とした減産効果もあり、原油価格は一定の水準を維持していましたが、サウジアラビアの方針転換で多くの米国内のシェールオイル会社は採算割れに追い込まれ、このことも米国株式市場にとっては悪材料になったと言えます。既にサウジアラビアの方針転換で今後の需給バランスは崩れるでしょうから反転上昇は期待できませんが、あまりにも急激な動きだったため、しばらくは上下に振れながら次の安値を見に行く可能性が高いということになりそうです。

こちらも月足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

このチャートを見ると、2016年安値26.03が最近の安値となっていて、それよりも安い水準は2003年まで遡らないとありません。この26.03が大きなターゲットとされやすいと同時に下抜けた時には、こちらもダウ同様に下値は怖いものがあるというチャートとなっています。

ただ、サウジアラビアの大増産が世界景気低迷の中で発表されたため、26ドル台は改めて試しに行く可能性が高いとしか思えません。

■来週の注目イベント

昨夜は英中銀が0.5%の緊急利下げを行いましたが、英国の政策金利が0.25%となるのはブレグジット懸念で緊急利下げを行った時と同水準で過去最低となります。今後さらにブレグジットの懸念が出てきたら英国もゼロ金利ということになりそうです。

そして本日はECB理事会、何らかの追加緩和が出てくることが確実視されていますし、来週の定例FOMCでは更なる大幅利下げが既にコンセンサスとなっています。続く日銀会合でも追加緩和策の思惑が出ていますが、果たしてETFの購入増額が可能なのかは日銀の財務状況を考えると悩ましいところです。

日銀はこれまでも巨額なETFを購入してきたことで所有金額は簿価で30兆円弱。しかも平均コストが19600円台とのことですから、既にかなりの含み損です。日銀の自己資本から考えると、万が一14000円を割り込むようなことがあったら債務超過状態になるようです。そこまで下げることは無いと強気で増額してくる気もしますが、国債と違って株には満期がありませんので、かなり悩ましい決断を迫られる日銀会合となりそうです。

ということで、来週は日銀会合の結果が最大の注目イベントとなるでしょう。