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■先週の振り返り

先週はNYダウ(US30.I)とNY原油(WTI)を扱いました。その後の動きを見ておきましょう。

(1)NYダウ(US30.I)

米国株式市場は混乱が続き、FRBによる緊急利下げも株式市場には効果が見られず、昨日のNY市場では一時19000ドルを割り込み、ダウ先物もサーキットブレーカー発動は日常的な出来事になってしまっています。

先週の段階では「2018年12月安値21450.6が大きな節目・・この安値より下にはもはや目立ったサポートが無い」と書きましたが、懸念以上のスピードでの下げとなってきています。

市場を取り囲む環境は悪材料しか見当たりませんが、テクニカルにはリーマン・ショック後の安値と今年の史上最高値から押しを計算するのが妥当でしょう。その場合、半値押しが18015.4となっていますので、現時点での次の安値の目処としては18000ドルの大台を考えておくとよさそうです。

(2)NY原油(WTI)

NYダウも凄まじい下げ幅を演じていますが、それに輪をかけて酷い状況となっているのがNY原油です。先週時点では「2016年安値26.03が最近の安値となっていて、大きなターゲットとされやすいと同時に下抜けた時にはダウ同様に下値は怖いものがある」と書きましたが、事実は予想をはるかに上回り、昨日の安値は20.04ドルです!

東京時間には27ドル台だったので、1日でというよりもわずか半日で7ドル以上、率にして26%もの暴落ぶりです。サウジアラビアが増産へと方針転換してから10日足らずで半値以下になったわけですが、昨日はサウジアラビアによる欧州向け原油大幅割引でロシアからもシェアを奪いに行ったことがきっかけでした。

サウジアラビアは世界でも産油コストが低く、価格戦争になったら敵う国はありません。実際に4月からの大増産に向け、下値の目処が見えませんが、2001年11月安値16.68ドルも視野に入れておいたほうがよいかもしれません。なにしろサウジアラビアはこの価格でも黒字ですから。

■今週の注目銘柄

今週はトルコリラ円(TRYJPY)とドル建て金(XAUUSD)を取り上げます。

(1)トルコリラ円(TRYJPY)

トルコリラ円は長期的な下降トレンドを継続していることは間違いありませんが、今年に入ってからは3月9日の円急騰時の円高で一時15.775をつけました。トルコリラ円もドルトルコリラもトルコリラの史上最安値は2018年8月のフラッシュ・クラッシュ時につけた14.624と7.2050ですが、いまのところトルコリラ円では3月9日の安値を試すような動きとはなりそうもありません。

いっぽうでドルトルコリラは最近の各国中銀の緊急緩和よろしく、火曜に緊急利下げを行い、下げ幅も1%で政策金利をインフレ率を大きく下回る9.75%としたことでトルコリラ安状態となっています。つまりドルトルコリラだけでなくドル円でもドル高となっているため、トルコリラ円は上値が重いながらも比較的落ち着いた動きとなっているわけです。

このドル円でのドル高は高金利通貨に投資をしている本邦個人投資家にとっては望ましいことかもしれませんが、実態を考えると悩ましいものがあります。米国だけでなく株式市場がここまでの急落ぶりを見せる中でドルが買われている最大の理由はドル資金不足なのです。FRBによる0%への緊急利下げもドル資金の流動性低下が最大の理由です。今週のドル資金市場では同じ期間でドル資金と円資金を交換する際の上乗せ金利(ベーシススワップ)が、なんと3か月もの1.5%を超える事態になっています。

こうなると、とりあえずドル資金手当のために為替スポット市場でドル買いに動き手元のドル資金を手当しておこうというのが先週からの株安の中でのドル高の動きです。株を売ってキャッシュ比率を高めていると言うほどやさしい状況ではありません。

話がドル円にいきましたが、こうしたことが円安要因となっていますので、逆に資金市場が落ち着けば、株が買われてもドル円ではドルが売られるということになる可能性があるため注意は必要でしょう。そして、全般的なドル高相場の中でトルコリラも着実にドルが強い動きになっていて、こちらはトルコ要因によるトルコ安がベースにあるということも忘れてはいけません。

チャートも見ておきましょう。

(チャート提供:サクソバンク証券)

緑と赤がトルコリラ円、青がドルトルコリラの日足です。トルコリラ円に関して言えばピンクのレジスタンスラインの下で緩やかに下げてきていますので、上値の目処としては16.90レベルがレジスタンスとなりやすく、いっぽうで下値の目処は16日安値の16.33がサポートとなりやすいでしょう。金融市場は全般に大混乱ですが、逆にそのことが新興国通貨市場の動きを「今は」鈍くしているといえます。

(2)ドル建て金(XAUUSD)

ドル建て金は3月9日には一時1703.14ドルと2012年12月以来の高値をつけました。しかし、それ以降は連日の下げで16日には1451.11ドルの安値をつけましたので、わずか1週間で250ドル以上もの急落を演じたこととなります。

通常の市場環境では、株安の場合のリスクオフでは安全資産である米国債、金といった安全資産に資金が移動しますが、今回は異常なまでの株価暴落相場の中で、利益が出ている金を売って換金するという動きが大きかったと考えられます。こうした動きは、通常の範囲を超え異常な動きの中でたまに見られる動きで、金融市場が収縮している時の値動きです。

つまり、世界中の株価から含み益が消え、利益が出ているもの、更には現金化できるもの何でも売るという非常に危険な動きと言えます。トルコリラ円の項目ではドル資金が不足している話を書きましたが、まさにバブル崩壊後の収縮している状況を目の当たりにしているという状況です。

少なくとも正常な市場に戻るまではリスクオフの動きで金も売られるという展開がありそうですが、正常な市場に必要なのは金融政策でも現金のバラマキでもなく、人と物の移動が正常に戻ることしかありません。新型コロナウイルスの感染拡大も暖かくなれば収まると言われていますが、逆に収まるまでは非常事態は続くとかんがえていたほうが良いです。

ドル建ての金は週足チャートを見ましょう。

(チャート提供:サクソバンク証券)

このチャートを見ると、1700ドル台までの上昇相場の前の安値圏が1400ドル台半ば、現在の水準からするとかなり近い水準と言えます。そして、ここを割り込んでくると2018年安値と今年高値の61.8%押しにあたる1367.52、およそ1300ドル台半ばをターゲットとする流れをテクニカルには予想することとなります。

最近はどの市場も想定外の値動きをしていますので、つねに遠い方のターゲットを考えておいたほうがよさそうですね。

■来週の注目イベント

世界中の中銀が緊急利下げ、そして世界中の政府が景気対策を行っていますが、現在の金融市場の混乱は収まっていません。これは、そもそもの原因である新型コロナウイルス感染拡大が収まって人と物の移動が正常化するまでは解決しないことです。

日銀もETF購入金額を倍増という恐ろしい政策を出してきましたが、これもほとんど反応せずというのもそういうことです。特に日本では東京オリンピックの延期ということが現実的になってきていることを考えると、相当になやましい期末を迎えることとなりそうです。

当面は経済指標はイベントではなく、感染者拡大が減少傾向に転じるかどうかが最大の注目材料。そして、金融市場ではドル資金の流動性低下がどうなるのか、ここを見ないと各市場で方向性を見誤ることとなります。今週のレポートではそのあたりに重点を置いて書かせていただきました。