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■先週の振り返り

先週はトルコリラ円(TRYJPY)とドル建て金(XAUUSD)を扱いました。その後の動きを見ておきましょう。

(1)トルコリラ円(TRYJPY)

新型コロナウイルス感染者拡大は当然新興国にも影響大でトルコ国内でも感染者数は増加していますし、景気に与える影響も大きいと言わざるを得ません。トルコ中銀も大幅利下げにより当初はトルコリラ安の動きとなっていましたが、今週は火曜に一時的に売りが出て以降は比較的底堅い動きとなっています。

トルコ国内での感染者拡大の割には健闘していると言えますが、週初に比べてドル資金の逼迫が緩和傾向にあることから、ドルトルコリラが短期的にはドル高値をつけたこともトルコリラ買い戻しの動きにつながっています。先週執筆時点では16.33〜16.90のレンジを考えていましたが、レジスタンスを抜け17.43まで上昇しています。まだ新型コロナウイルスの影響が収まったとは言えませんが、新興国市場に落ち着きが出ているという点で、金融市場は当面の危機を乗り越えたと見てもよいように思えます。

(2)ドル建て金(XAUUSD)

先週時点ではリスクオフの動きによる金買いではなく、キャッシュ化の動きから利益の出ている金にも売りの流れが出ていることを書きましたが、その後は急速に金に買い戻しが入っています。

キャッシュ化の波による金売りは資金市場においてドルが逼迫したことで、主要通貨ペアに対するドル買いで為替市場でスポットのドルを調達する動きとともにボトムを見ました。その後は資金市場に落ち着きが戻ってきたこともあって金にも買いが戻ってきています。

この金買い戻しの動きをどう見るかは難しいのですが、株式市場は景気対策で随分と上がってきてはいるものの、安全資産としての金も保有していたほうがよさそうだというう考えから来ていると思います。昨日は1642.25ドルと3月安値1451.11から200ドル近い上げとなりましたが、下げと同じようなスピードで上がってきていることを考えると、ここから2月高値1703.14ドルまでは簡単には上がらないのではないかと考えています。

■今週の注目銘柄

今週はドル円(USDJPY)と日経平均(JP225.I)を取り上げます。

(1)ドル円(USDJPY)

ドル円は一時期に比べて随分と動きが落ち着いてきました。1時間足で見ると以下のチャートように110円台後半から111円台半ばで上下を繰り返し、以前のドル高から調整局面入りとなってきたことがわかります。

(チャート提供:サクソバンク証券)

以下の考え方はドル円だけでなく後から出てくる日経平均株価にも共通する点となりますので、ドル円の項に書いておきます。

ドル円に影響を与える米国と日本の金融政策、景気対策を見ていると両国ともほぼゼロ金利といってよいでしょうし、資金市場への流動性コミットも似たような状況です。景気対策は明らかに米国のほうが大規模ですが、いっぽうで日本は直接的に株価対策として日銀とGPIFによるPKO作戦が株価を持ち上げていて、効果としては似たようなものかもしれません。

問題は東京オリンピックの延期による年後半の景気浮揚が日本では1年先延ばしになったというあたりで、冷静に考えれば株にとってはよくありません。ところがPKOで株は下がらずですが、為替市場はどうなのか。おそらくはドル資金市場におけるドルの逼迫は緩和されてきていますので、それによるドル買い要因は徐々に薄れてくると考えられます。

いっぽうで、さまざまな対策はしているとはいえ、実体経済は急減速に入ってきていますので、3月末から4月に入って発表される経済指標は軒並み大幅に悪化すると考えられます。特に注目を浴びるのが米国経済指標ですから、金融市場が落ち着いているならば、悪い数字が株安、ドル安という従来型のリスクオフとして反応する可能性が高いのではないかと考えています。

上記チャートの111円台半ばにおける上値の重さを考えると、テクニカルには3月安値から高値までの上げに対していったん押しが入りやすいのではないか、と見ることとなります。こちらは日足チャートに上記期間のフィボナッチ・リトレースメントを重ねてみました。

(チャート提供:サクソバンク証券)

すると、23.6%押しが109.219、38.2%押しが107.681となっています。直近では値動きは少ないものの、これまでの荒っぽい動きを考えると、前者のターゲットは近すぎる感じもしますが、まずは109円台前半がターゲットとなりやすく、そこで止まらない場合には107円台後半もありうるという見方で良いかと思います。

(2)日経平均(JP225.I)

株価も随分と戻してきた感がありますが、日本株の場合はドル円の項に書いたとおりで、前回の会合で倍額に増額された日銀によるETF買いとGPIFによる半ば株価介入とも言える買いが支えている状況です。

今週も先物市場はかなり荒れた動きとなっていて、週明け月曜早朝のシカゴGLOBEXの日経先物では一時15060円までの急落を見せ、そこから19455円まで4400円もの急騰を演じました。現物市場と異なり23時間取引が行われているがゆえの乱高下ですが、現物市場で16000円を割らなかったことは本邦の投資家には救いだったかもしれません。

というのも日本ではゼロ金利の中で様々なハイイールド商品が組成されていますが、その中でも代表的だったものに株価リンク債があり、株価が大きく(3割設定が多い)下がらなければ元本保証で一定の利回りが出るという仕組債です。2月中旬までは株式市場も活況でしたし、仮に平均をざっくりと22500円とすると70%は15750円、23000円とすると16100円、おそらく多くの方はノックアウト水準にはギリギリでかからなかった可能性が高いです。

もちろん、更に高いところで組成されていた方は運悪くノックアウト水準にかかり株価連動となってしまった可能性はありますが、それほど多くないのではないかと考えられます。この手の金融商品は満期は短いものの、2020年いっぱいは過去の満期がやってくると見られ、引き続き16000円以下の株価には注意と言えるでしょう。

ここからですが、日銀とGPIFがいなければ下がるでしょうし、いる限りは下がらないというかなり人為的な相場が続きそうで、日経平均は下がれば買いが出てくるという状況が続くのだと思います。そうなると、あまり値動きを予想することも意味が無さそうですが、すでに当面の高値も安値も見たと仮定するならば、戻しのターゲットをテクニカルに計算することは可能です。

(チャート提供:サクソバンク証券)

昨年12月高値と今年の年初来安値にフィボナッチ・リトレースメントを重ねました。38.2%戻しは既に達成していますので、次のターゲットとしては半値戻しの20111.4。ちょうど2万円の大台とも重なりますので、現在は2万円の大台を視野に入れながらも新型コロナウイルスの影響を見ている段階というところでしょう。

■来週の注目イベント

本文にも書きましたが、今週辺りから新型コロナウイルスの感染拡大以降の経済指標が出始めています。火曜の欧州主要国のサービス業PMI速報値は軒並み酷い結果となりましたが、酷い数字を織り込んでいたこともあって、あまり相場への影響は見られませんでした。

経済指標の中でも影響力が大きいのはやはり米国の経済指標ですが、人の移動が制限される中での直近の失業保険申請件数が今夜発表されます。こちらも予想は大幅増なのですが、果たして予想からどの程度ずれるのかが気になります。

また来週はADP全国雇用者数や米国雇用統計と雇用関係の数字が発表されますが、先月まではほとんど気にされなかった雇用関連の数字に久しぶりに注目が集まっています。こちらもどの程度の悪化となるのか、予想とのズレを気にして見たいところです。

また来週は日本では期末になりますので、期末の特殊要因がどちらに出てくるのか、ドル円相場は気にする人が多くなります。