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■先週の振り返り

先週はドル円(USDJPY)と日経平均(JP225.I)を扱いましたので、その後の動きを見ておきましょう。

(1)ドル円(USDJPY)

新型コロナウイルス感染者拡大は依然として続いていますが、FRBを中心とした主要中銀協調によるドル資金供給へのコミットは少なくとも資金市場の落ち着きを取り戻す効果は出ています。一時期の為替市場におけるドル買いは収まり、それによって歪んだ値動きは考えなくてよくなりました。

そうなると、ファンダメンタル(当然、先行きの景気悪化懸念)から、株式市場には売り圧力が加わりやすく、為替市場では感染者急増が続く米国と欧州の様子を見て、ドル売り、ユーロ売りという状況と、従来型のリスクオフ相場に戻った感があります。日本株売りも出ていますが、この従来型リスクオフの観点で円買いが出やすいという判断です。

先週のコメントでは「金融市場が落ち着いているならば、悪い数字が株安、ドル安という従来型のリスクオフとして反応する可能性が高い」とした上で「109円台前半がターゲットとなりやすく、107円台後半もありうる」という見方を示しましたが、方向性はよかったのでは無いかと思います。ただ、思ったよりもドルの下げが速いですから今後は105円台前半を視野に入れる展開になってきたと見ています。

(2)日経平均(JP225.I)

国内では3月期末をなんとか乗り越えた感じではありますが、新年度入りして昨日の東京後場には株価は大きく下げ、本邦企業における業績悪化を懸念した動きとなりました。前日に発表された3月日銀短観もDIは大幅に悪化し製造業はマイナスの数字となりました。

欧米諸国に比べて感染者数が少ないとはいうものの単に検査数が少ないからという声も聞こえてきますし、東京都ではゴールデンウィークまで高校は休校で調整しているとのことです。週末・夜間の外出自粛も続きそうですが、仮に感染者が爆発ということになれば、ロックダウンの話が現実のものとなる可能性も出てきます。

先週のコメントでは「日銀とGPIFがいなければ下がるでしょうし、いる限りは下がらないというかなり人為的な相場が続きそう」と書いたとおりで、しばらくは株式市場の買い手は限られてきそうです。本来であれば下げる流れのはずですが、下がればPKOの買いが出てくるという流れが続くことになるのだと思います。

■今週の注目銘柄

今週はドル建て金(XAUUSD)とNY原油(OILUS)を取り上げます。

(1)ドル建て金(XAUUSD)

ドル円は一時期に比べて随分と動きが落ち着いてきました。1時間足で見ると以下のチャートように110円台後半から111円台半ばで上下を繰り返し、以前のドル高から調整局面入りとなってきたことがわかります。

3月の為替市場は乱高下が酷く、リスクオフのドル売り、ドル不足のドル買い、落ち着きを取り戻しファンダメンタルからドル売りと目まぐるしく動きましたが、金市場も例外ではありませんでした。ドルの動きとしては似たような感じで、3月はユーロドルとほぼ似たような動きを示しました。理由もリスクオフで金買い、その後はドル不足で換金売り、そして改めて金の買い戻しという展開です。

以下のチャートはXAUUSDの日足チャートですが、上述した動きになっていることがよくわかります。

(チャート提供:サクソバンク証券)

ここからの動きを考えると、3月下旬の動き、つまり景気悪化を懸念してのリスクオフによるドル売りが本流であるとするならば、ドル建て金も金買いに動く可能性が高いということになります。

ただ、これも株式市場がモデレートな動きであれば、という条件付きになってくるでしょう。というのは、もし米国株式市場が2番底をつけに行くような動きになってくると当初は金買いで反応したとしても、途中からは利益が出ている金を売るという動きへと流れが変わってくる可能性があるためです。そうした点でも、今後出てくる米国の経済指標には要注意と言えます。

テクニカルには、既に短期的な高値も安値も見た後と考えられますが、上のチャートをもう一度ご覧ください。ここまでの動きは高値と安値の76.4%戻しで上げが停められていることがわかります。そこで、今度は安値とこの戻り高値とのフィボナッチ・リトレースメント、そして仮に3点を仮定しての上昇N波動によるエクスパンションを考えることとなります。

(チャート提供:サクソバンク証券)

両者を示しているので若干見辛いかもしれませんが、長めの横線がリトレースメント、短めの横線がエクスパンションです。するとリトレースメントから半値押しが1547.29、エクスパンションからは半値エクスパンションが1660.53となっていることがわかります。エクスパンションの押しの価格は変わる可能性があり、その場合には半値エクスパンションも変わってきますが、おおよその目安としては十分です。

ここからの動きとしては、1550ドル〜1660ドルを中心としたレンジを見ておくとよいのではないかと考えています。

(2)NY原油(OILUS)

NY原油は3月第1週の週末にサウジアラビアが4月から増産に転じると発表したことがきっかけとなり大きくギャップダウンして以降、じり安の展開をたどり30日には20ドルの大台も割り込み一時19.25ドルと2002年2月以来の安値をつけています。当時の原油価格を月足チャートでご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

OPEC諸国による協調減産が3月末で期限を迎えたことで、いよいよ増産が始まりますが、この供給拡大による先行きの原油価格続落懸念に新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限が需要縮小となり、需給のバランスが崩れることからテクニカルには2001年安値の16.68を視野に入れ始めたと言って良いでしょう。

サウジアラビアを始めとする中東産原油は2001年安値でも利益は出ますし、北海ブレント(ノルウェー、英国)も採算割れにはならないと言われます。しかし、米国で近年急速に拡大したシェールオイルは採掘コストが高く(45〜50ドルと言われる)、既に大幅な採算割れとなり、昨日原油価格急落後発の米国シェールオイル企業ホワイティング・ペトロリアムの破綻が発表されました。

ただでさえ、米国内では新型コロナウイルス感染拡大で需要が減っていますので、今後もこうした企業の復活には厳しい予想がされていますが、さらに金融市場にとって怖いのはシェールオイル企業の多くが社債で資金を調達しているという点です。社債市場でいうところのハイイールド債(と言えば聞こえはいいですが、ジャンク債程度の格付けの社債)ですが、おそらくは償還できない企業が続出です。

FRBが緊急利下げでゼロ金利にした背景には、石油関連企業の破綻があるのではないかと思っていましたが、最初に危機に陥ったのはボーイングでした。しかし、水面下では着実に危機は続いていたことはたしかで、今後もホワイティング・ペトロリアムのような会社が次々と出てくることになる懸念があります。

価格のターゲットは上述のとおりですが、急落前の水準に戻らない限り米国のシェールオイル企業は採算が取れないという点には改めて注意喚起をしたいと思います。ただ、採算コストには相当な距離があり、OPECによる協調減産が再開しない限り難しいかもしれません。

(チャート提供:サクソバンク証券)

■来週の注目イベント

今週は1日に日銀短観も大幅に悪化しましたが、先行きの見通しは更なる悪化となっていますし、製造業だけでなく非製造業もマイナスに転じるという見通しでした。

これまで、欧州、米国と新型コロナウイルス感染者拡大後の経済指標が出ていますが、ここ半月の急拡大を見る前の数字でもあります。実際に昨夜のADP全国雇用者数は予想よりは良かったこともあり、明日の米国雇用統計も似たような結果になる可能性があります。しかし、本当に悪い数字が出てくるのはこれからですから、そうしたことを考えると世界的なリセッション入りの覚悟は必要でしょう。

ただ新型コロナウイルス問題は永遠に続く訳ではありませんので、年内に底を打ち景気も回復に向かうということも確かでしょう。しばらくは景気もプライベートも我慢の時期が続きそうです。

なお、来週は水曜NY市場でFOMC議事録公表、木曜は4月ミシガン大消費者信頼感速報値、金曜に米国3月CPIといったところが注目材料となります。経済指標は予想から上下どちらにブレるのかを見ておきましょう。