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■先週の振り返り

先週はランド円(ZARJPY)と日経平均(JP225.I)を扱いましたので、その後の動きを見ておきましょう。

(1)ランド円(ZARJPY)

ランド円は、ムーディーズによる格付け引き下げの影響は今でも続いていると考え、長期的にテクニカルな観点から大台5円をターゲットとしながらも、その手前の節目として現在は5.5円を視野に入れる下げ相場が継続しているという見方を示しました。

ランド円はその後はっきりした方向感は出ていないものの、買いが先行した際には大台6円は回復できず、かと言って目先は積極的に売る材料も無いといった動きが続いています。ここ1か月ほどは、5.65〜95を中心レンジとする狭い値幅でのもみあいとなっていますので、もみあいい後どちらに抜けるか、個人的には上述の通り、長期的な下降トレンドは続くという見方をしています。

(2)日経平均(JP225.I)

日経平均に限らず世界の主要な株価指数はコロナ後を期待した買いにより底堅い動きを続けてきました。しかし、実体経済を表す経済指標は何一つ改善していないことは先週も書いたとおりですが、今週の米国株の動きを見ていると足元の懸念にも目を向ける動きとなってきた感じもします。

個人的には実体経済の状況を反映するプロダクトとしてNY原油を見るのですが、期近物では先日の大きなマイナス価格など常識を超える値付けが起きていますので、最近では期近の次の限月となる2番限つなぎの価格動向を参考にしています。すると、一時期よりは持ち直しているもののまだまだ需要回復にはほど遠い状況ですし、そうであるならば今の株式市場は思惑が先行しすぎているのではないかという考えに変わりはありません。

テクニカルには4月高値を若干更新し引き続き先週示した上昇ウェッジの中での動きとなっていますし、一部を除いて非常事態宣言の解除も期待されていますので、この後どうなるかを見極めたいところです。現状ウェッジの幅がほぼ20000円〜21000円となっていますので、抜けるという場合にはこれらの価格を明確にどちらに抜けるかということになるでしょう。

■今週の注目銘柄

今週はユーロ円(EURJPY)と豪ドル円(AUDJPY)を取り上げます。

(1)ユーロ円(EURJPY)

ユーロ円は、5月に入りユーロが対ドル、対円ともに売りが強まる動きの中で一時114円台前半と2016年11月以来の安値をつける動きとなりました。もともとコロナウイルスによる影響を除いても欧州の景気は弱かったことから2018年以降は着実に上値を切り下げる展開となっていましたが、コロナウイルスの影響が欧州で大きかったことから、今年2月以降はユーロが弱い地合いを強めてきました。

そして5月に入ってからのユーロの下げの大きなきっかけはドイツ連邦憲法裁判所において、ECBの緩和策が一部違憲とされたということがあります。もともと欧州内でも温度差がある中で、優等生のドイツにとっては行き過ぎた緩和を懸念する声がこれまでもあったのですが、今回の判決は改めてそうした温度差を感じさせるものとなっています。

違憲とされたのは、コロナウイルス後の緊急プログラムを除いたこれまでの緩和策の国債購入に関する部分です。ドイツ政府や連邦議会の関与無くECBの緩和政策が執行されていることに対して2017年に提訴、2018年には欧州司法裁判所が適法としたものの、今回改めてドイツ国内で再判断が行われ違憲とされました。

現在はECBも緊急プログラム発動中ですし、いますぐにECBが政策を変えることは無いでしょうが、コロナ後に欧州内での対立要因を残すこととなったという点で、新たなユーロ売り材料が加わったという見方で良いかと思います。テクニカルには長期の動きを見るため、月足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

2016年安値は109.354ですが、大きくは110円の大台と捉えて問題ありません。また2016年安値と2018年高値のフィボナッチ・リトレースメントを見ても主要な押しを全て達成し、こちらも100%つまり全値押しとなる110円の大台を長期的には視野に入れる展開にあると見てよいでしょう。

2018年高値からの動きでは、青の平行線で示した下降チャンネルの中での動きを継続していて、2020年中には下限が大台の110円とぶつかることとなります。短期的にも長期的にもユーロ円は下値をトライしやすいと考えています。

(2)豪ドル円(AUDJPY)

豪ドル円はドル円や他の主要なクロス円に比べて底堅く堅調な動きをしてきました。3月の年初来安値以降は安値高値ともに切り上げる上昇トレンドを継続していますが、中国との貿易が多い豪州にとって、コロナウイルスの感染者拡大に終止符を打ち、一足先に経済回復への道を歩んでいる中国の影響が大きいと言えます。

ただ直近のところで豪州と中国との新たな対立が出てきたことから、これまでの豪ドル高の動きがいったんストップするのではないかという懸念となっています。

まず、4月末の段階で豪州駐在の中国大使が新型コロナウイルスの感染拡大について、豪州がその調査を要求することは豪州製品のボイコットにつながるとの警告をしました。これは豪州が世界の中でも米国と並んで中国に対して強気の発言をしてきたということに対する反応です。

ここからいったん豪ドルは下げに転じたものの安値を更新すること無く再び上昇に転じたのですが、今週に入り中国が豪州産食肉の一部輸入停止を発表しました。中国側は単に検疫の違反があったための措置と言っていますが、豪州の貿易相は失望を表明し、市場参加者も4月からの対立が具体化してきたのではないかという見方をしています。輸入停止が解除されるまで、豪ドルは上値が重くなりやすいじあいに変化してきたと考えられます。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

青のラインで示した上昇ウェッジの中での動きとなっていますが、4月末の高値と今週高値がほぼ同水準で短期的なダブルトップのパターンを形成する可能性が出てきました。また3月の年初来安値以降、豪ドル円は調整らしい調整が入っていませんので、フィボナッチ・リトレースメントで23.6%押し(67.748)から38.2%押し(66.246)の水準への下げは一度ありうるところかと思います。

追加のニュースに注意しながらも豪ドルの下げには注意したいところです。

■来週の注目イベント

最近考えていることを書いておきます。

昨夜のパウエルFRB議長の発言を見ていると、米国においてはまだ実体経済が弱いこと、そしてFRBはそのためにはあらゆる手を打つもののマイナス金利は考えないことなどが示されました。議長の発言で為替市場もユーロドルを中心に上下に動く場面も見られましたが、中銀としても今までの経験の無い新型コロナウイルスによるリセッッションに対してどのような政策をしていくのか、非常に興味深いところです。

ただ、現状はリセッションではあるものの、その状況にも市場参加者が慣れてきた段階にありますし、経済指標も悪くて当然状態となっているため、大きく流れを超えるような状況はなさそうです。おそらくは、どう動いたらいいのかわからないというのが正直なところではないでしょうか。

そうした中で、世界的にコロナウイルス感染者の増加ペースが大きく改善してきたことから、店舗営業や人の移動に関して制限緩和検討が増えてきました。日本でも一部地域を除いて非常事態宣言の解除が行われそうですが、今回のウイルスは今後も消え去ることはなさそうだという見方にもなってきていますので、そうなるとこれから冬を迎える南半球ではどうなるのかも気になります。

また、日本では1か月以上程度の自粛ですが、諸外国では数ヶ月の規制となったことで、今後徐々に経済が回復していく中でも以前と同じ状況に戻るのかというと、違うような気がします。リモートワークに慣れてくると、本社機能も普段は半分の人で良い、それならば都心部のオフィスを縮小するか、といった動きがでてもおかしくはないでしょうし、ニュー・スタンダードと言われる状況への変化が一気にやってくる可能性もありますね。

個別株の銘柄ではこうした動きを予想して下がりにくい銘柄と上がらない銘柄に違いが出てきていますが、そういう点ではコロナ後の世の中の変化は金融市場的にも楽しみでもあります。