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■先週の振り返り

先週はユーロ円(EURJPY)と豪ドル円(AUDJPY)を扱いましたので、その後の動きを見ておきましょう。

(1)ユーロ円(EURJPY)

ユーロ円は、先週のレポートはドイツ憲法裁判所によるECBの緩和策一部違憲の判決が出たことでユーロ売りとなったこと、またこの動きがコロナ後の欧州内の温度差に影響を残す可能性についてを書きました。テクニカルにはユーロ円は下方向を見ていましたが、今週は別のニュースで一気に方向を変えています。

今週月曜にはドイツとフランスによるコロナ後に向けた経済再生基金構想が出てきて、大きくユーロが買い戻される動きとなりました。出てきたニュースを見ると別の流れではあるもののドイツ側が配慮しての結果にも見えてきます。

動きとしては執筆時の14日が押しの最安値(115.327)となり今週に入りユーロドルの大幅上昇とともにユーロ円も連れ高、本日はここまでの高値が118.208と2円近い上昇を見ることとなりました。ただユーロドルが1.10の大台手前で反落していることから、ユーロ円も次の動きの前にいったん踊り場を形成する流れになると見ています。

(2)豪ドル円(AUDJPY)

豪ドル円は米中対立に加え、中国が豪州産食肉の一部輸入禁止措置を取ったことから下げていたというのが先週執筆時点の状況です。しかし、その後の豪ドル円はクロス円が全般に上昇する動きとなってきたことで上昇ウェッジ内の動きを継続しています。

しかし、中国の豪州に対する制裁と思われる措置はその後も続き、今週18日には豪州産大麦に対して80.5%という高関税の適用を示しました。新型コロナウイルスの調査要求とは無関係というのが中国側の説明ですが、ワインや乳製品といった輸出品に対しても制裁を考えているのではという見方もあり、最大の輸出国中国の動きを考えると、いつ豪ドルが反落してもおかしくありません。

昨日71.035とこの流れでの高値をつけてはいますが、中国による豪州への制裁懸念があることから、これまで買っていた向きの利食いが週末を前にして出てくる可能性が高いのではないかという見方をしています。

■今週の注目銘柄

今週はドル建て金(XAUUSD)とブレント原油(OILUK)を取り上げます。

(1)ドル建て金(XAUUSD)

円建て金価格がグラム単価で6000円超えといったニュースで金価格が上昇していることを知った方も多いと思いますが、ドル建て金(XAUUSD)価格は今週に入って年初来高値を更新、高値1765.36と2012年10月以来の高値をつけています。

背景にあるのは明らかに投資資金の流入と言うよりも、株式市場を中心に楽観論が広がっている中で、コロナ後の景気回復に対する警戒がリスクヘッジとして金の買いに向かわせている可能性があります。コロナ後の景気回復は各国中銀と政府の協調でV字回復を見込む向きもありますが、トランプ大統領の発言などは秋の大統領選を視野に入れてのプロパガンダと思ったほうがよく、慎重なパウエルFRB議長の発言のほうが冷静な見方だと思えます。

個人的にもコロナ後の回復はパウエル議長以上に慎重というよりも、いまだ悲観的なのですが、このあたりは最後のコラム部分にまとめましたので、そちらをお読みください。理由は年初の日常には少なくともしばらくは戻れないという点です。であるならば、これまでの原則をあてはめて考えることは無理があり、そのあたりに慎重な投資家が金を買っている構図だと見ています。

テクニカルにはどうでしょうか。2012年以来の高値なので、月足チャートを見ましょう。

(チャート提供:サクソバンク証券)

すでにフィボナッチリトレースメントのターゲットでは100%戻ししかありませんので、2012年当時の動きを注目すると、前年2011年後半以降は1800ドル水準で上値を抑えられその後の下げへとつながっています。テクニカルには、今回の上昇は1800ドルを目指した展開と見て良いでしょう。

そこからは、景気回復に対する遅れについてどのように見られるか、となりますが、少なくともしばらくは大きく変化はないと思いますので、リスクオンが続いている間はそのヘッジとして金も買われやすいという見方でよいかと思います。

(2)ブレント原油(OILUK)

本来的には商品CFDといえばNY原油ということになりますが、4月のマイナス価格を見たことで世界的にNY原油CFDに対する証拠金率が上がってしまいました。いっぽうで、他の原油指標としては中東産と北海ブレントがありますが、サクソバンク証券ではブレント原油CFDも活発に取引が行われていますので、今回はブレント原油(OILUK)を見てみましょう。

ブレント原油は、北海ブレントとも言われ、主に英国とノルウェーの海域で算出される原油です。価格の動きとしては基本的にNY原油と同じような動きをしていますし、価格帯もNY原油と大きな違いはありません。現在サクソバンク証券で取引可能な7月限で比較するとNY原油に比べてブレント原油は2ドル強高い水準での取引となっています。

またNY原油が4月に貯蔵場所が無いことによるマイナス価格転落に比べて、ブレント原油はその時でも正常な価格形成が行われていましたので、指標面としてもより妥当であると見てよいでしょう。原油市場は現在、各国の経済正常化に向けた動きを反映して年初来安値からはかなり反発してきています。このあたりの動きを見るために今回は日足チャートを見てみましょう。

(チャート提供:サクソバンク証券)

このチャートで見ると最安値15.99から昨日には36.39と倍以上の価格になっていますが、原油価格で現状気にすべきはOPECプラスで協議が決裂した際の水準です。3月6日と9日の週末で大きなギャップを空けているところですが、このギャップは39.69〜45.19となります。

当時は既にコロナショックの渦中にありましたが、その後の一段の各国経済の悪化を考えるとそこまでは戻せないというところですが、テクニカルにはギャップの下限にあたる39ドル台はターゲットとされやすい水準ですし、いまの底堅い動きでは一度は同水準に近づくような動きを見せてくる可能性は高いでしょう。

ただ、ギャップ手前では短期筋の売りも出てくるでしょうから37ドルを超えてくる時にはポジション調整の動きにも注意は必要でしょう。

■来週の注目イベント(コラム)

先週に続いて最近考えていることの続編です。

各国ともコロナ後に向けてロックダウンの緩和の動きが進んでいます。日本でも昨日首都圏と北海道を除いて緊急事態宣言が解除されました。コロナ後のV字回復を期待して株式市場を中心に楽観論が広がっていますが、一定の自粛、特にソーシャルディスタンスの問題が、楽観シナリオを大きく後退させるリスクが高く、そこまで楽観的にはなれないのではないかというのが現在の個人的なスタンスです。

おそらく皆さんもニュース等で見ていると思いますが、再開した観光地のロープウェイは定員4分の1、一部営業再開したデパートのエレベータは定員4人、劇場に至っては定員8割減のシミュレーションも出ています。そして、これは日本に限らず世界的に起こることですし、今後国際便が再開した時の座席はどうなるのでしょう?2人おき、1列おきにでも座らないと無理なのではないか、かと言って航空券の値段を5倍にはできないだろうと、しばらくは景気回復どころか茨の道が待っていると考えたほうがよさそうです。

最終的にワクチン接種が誰でも出来て、各国政府もスウェーデン寄りの集団免疫獲得の方向にでも変化しない限り、年初の常態に戻ることはありえないと思います。ありえない年後半を想定しての楽観論であるとするならば、どこかで反落する動きが出てくるリスクはあるでしょうし、その時のリスクオフが他の金融市場に与える影響も大きいのではと思います。

楽観的な見方でもしなければやってられないという気持ちもわかりますが、金融市場参加者の一人としては、客観的な否定論が出てこないことが不思議でなりません。おそらくバフェット氏の目先の見方や、パウエルFRB議長の「思ったよりも回復に時間がかかる可能性」といった米国要人の発言が現状判断に近いと思います。