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■先週の振り返り

先週はドル建て金(XAUUSD)とブレント原油(OILUK)を扱いましたので、その後の動きを見ておきましょう。

(1)ドル建て金(XAUUSD)

ドル建て金(XAUUSD)は、18日の年初来高値更新後は調整の売りが目立ちますが、5月の金価格上昇は投資資金の流入と言うより株式市場の楽観に対してリスクヘッジとして金の買いに向かっている可能性を指摘しました。

見方としては間違っていないと思いますが、金価格の上昇が続いてきた中で、相変わらず株式市場が異常なまでの強さを見せていて、リスクヘッジに動いた向きもヘッジを外して金を売る動きに出ていたのではないかと考えています。

ただ、現在の金価格はいまだ上昇トレンドを継続中であることから、中期的には先週示した2011年後半のレジスタンスであった1800ドル水準をターゲットとしていると言えます。

(2)ブレント原油(OILUK)

ブレント原油(OILUK)は年初来安値15.99から倍以上の価格になっきたものの、OPECプラスで協議が決裂した際の3月6日と9日の週末ギャップ(39.69〜45.19)はターゲットとして意識されやすいことを書きました。

NY原油もこの時のギャップを埋めきれず昨日は下げに転じる動きとなりましたが、ブレント原油も同様にギャップ手前で反落する動きとなっています。4月の戻り高値も今回同様に37ドルには届かず反落したことを考えると、世界的に供給過多が解消される経済状況となるまで、3月ギャップの下での推移を続けやすいと見ていたほうが良さそうです。

ここまでは、株式市場と同様に上昇傾向を続けてきましたが、実需動向を強く反映する商品市場ではここに来て実体経済を反映する動きになってきた感じです。個人的には商品市場の動きのほうが株式市場よりはしっくりときます。

■今週の注目銘柄

今週はNYダウ(US30.i)と香港ハンセン指数(HK50.i)を取り上げます。

(1)NYダウ(US30.i)

NYダウは今週に入ってから連日の上昇となり、週初の始値24475.3から執筆時点で週間高値となる25829.7と、既に1350ドルを超える上昇を見せています。この間、各国中銀と政府が経済回復に向けての政策を強くコミットしていることもあり金融市場は落ち着いた動きとなっていることもあり、コロナ後の回復期待やワクチンの開発といった好材料にのみ反応する動きを続けています。

しかし、日本でも非常事態宣言は解除されたものの、明らかにコロナ前とは異なる新たな活動が当面は続く状況で、この状況は米国や欧州でも同様です。おそらくは顧客減少とコスト増大から昨年の同時期と比べて、売上は大きく落ち込んでいることは間違いありません。また、今でも新興国では感染者数の増大が見られることから、国を超えての人の移動がいつからなのかは目処も立たない段階かと思います。

そして、そうした中で本日中国の全人代で香港治安強化を目的とした国家安全法が採択されることは間違いないでしょうから、この動きに対して事前にトランプ大統領が対応を考えるとした発言がありましたが、何らかの制裁を発動する可能性があります。次の項目で上げている香港ハンセン指数はまさにそうした懸念から下げていますが、本日以降の米国の対応にはかなり注意が必要です。

しかも為替市場でも中国の人民元安誘導によって直近の人民元は2008年以来11年ぶりの人民元安(ドル高)となっていて、政治と為替市場と2つの問題から米中対立が激化する可能性があり、そうなるとここまで上昇してきたNYダウにも調整の売りが出る可能性は高いと言えるでしょう。

テクニカルにはどうか、日足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

原油は3月6/9日のギャップ手前で反落していますが、NYダウは既に当時の水準を上抜け、史上最高値とその後の年初来安値の61.8%戻しとなる25229.1を超えてきています。この61.8%がまさに3月のギャップの水準(水平線の水準)であることを考えると、超えている部分が実体経済から乖離して楽観による上乗せ分と考えられます。

悪材料が何もなければ上昇チャンネルで示したチャンネルの中での動きを継続しやすいのですが、冷静に考えるとそろそろいったん調整が入ってもおかしくはありません。個人的には上述した25229.1から考え、25000ドルの大台水準への押しはいつ入ってもおかしくないと考えています。

(2)香港ハンセン指数(HK50.i)

主要国の株価指数が強い地合いを続ける中で、香港ハンセン指数は今週月曜に3月24日以来の安値をつける動きとなっています。これはNYダウの項目でも触れましたが、現在開催中の中国全人代において香港の治安強化を目的とした国家安全法の採択が行われることを懸念した動きです。

香港ではコロナ禍以降は感染拡大防止を主目的に9人以上の集会が禁止されています。しかし、全人代の動きに反発して昨日の香港では反対派のデモ(名目上は国歌条例案審議に対する抗議)が1000人以上の規模で行われ300人以上が逮捕されました。こうした香港反対派の動きに関係なく、全人代では本日中に国家安全法の採択が行われる予定ですが、今後北京による香港への政治的圧力は一層強まり、一国二制度が骨抜きにされるのではないかという懸念があります。

トランプ大統領もこの件では強力に対応すると発言したこともあって、本日以降何らかの発言が出てくることは間違いの無いところですし、昨日の段階でポンペオ国務長官は「香港の自治失われた」と判断していますので、先日のファーウェイ禁輸措置に続いて、制裁関税再発動という可能性も否定できません。短期的にはすぐに動かないとしても、米国以外でも同様の動きが出てくると見ていたほうがよいでしょう。

コロナウイルス感染拡大以降、主要国の中国に対する態度は明らかに変化してきていますが、中国側はいつも通り内政干渉と報復措置も厭わないという流れでしょうから6月相場にどのような影響を与えるのか、ハンセン指数が重要な役割を果たすかもしれません。

テクニカルに日足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

現在の水準は年初来安値とその後の高値の61.8%押しの水準にまで下げてきていることから、月のターゲットとしてはフィボナッチ・リトレースメントで示した21967.7(76.8%押し)ということになります。米国の対応次第では年初来安値を再度試しに行く可能性もありますし、そうなると他の主要株価指数に与える影響も考えなくてはなりません。本日以降の中国と米国の動きはよく見ておく必要があります。

■来週の注目イベント(コラム)

5月も最終週で来週からは6月ですが、今年ここまでの各国の状況を考えると半分くらいの時間はロックダウンをはじめ多くの制限により経済活動が大ダメージを受けてきました。これまでも経済指標は悪い数字ばかりが目立ちますが、悪くて当たり前、今後は回復方向と明るい材料ばかりに目を向け、実体経済からは目を背けているような気がしてなりません。

先週、先々週と2週連続で今の理由なき楽観と実体経済の状況の乖離に対する違和感を書きましたが、その後も米国株を中心としたリスクオンの動きは収まる様子が見られません。来週は月初ということで米国の雇用統計発表を迎えます。まずは水曜のADP全国雇用者数でですが、前回の2000万を超える減少から今回は900万減という数字が予想されています。

金曜の本番ではNFP(非農業部門)が同様に前回の2000万を超える減少から今回は745万減が予想されています。しかし、これらは前回からの数字ですから、3月以降の累積で考えると大変な数字となります。実際に失業率は前回が戦後最悪の14.7%でしたが、今回の予想はなんと19.8%です。5人に1人が失業状態というのは、どこの新興国かと思わせる数字です。

こうした数字が現実のものとなっても果たして織り込み済みという状態のまま6月相場に入っていけるのか、個人的な感覚としては相変わらずしっくりと来ないものがあります。