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■先週の振り返り

先週はNYダウ(US30.i)と香港ハンセン指数(HK50.i)を扱いましたので、その後の動きを見ておきましょう。

(1)NYダウ(US30.i)

NYダウ(US30.i)は米中対立激化懸念や実体経済との乖離が広がっていることからいつ調整が入ってもおかしくはないという見方を示し、テクニカルにも史上最高値とその後の年初来安値の61.8%戻しとなる25229.1を超えている部分が実体経済から乖離してコロナ後の楽観的見通しによるものとしました。

その後の米国株ですが、今週扱うNASDAQを筆頭に強い地合いを示し、本日東京前場時点では26,363.6の高値をつけています。先週執筆日の安値から見ると1000ドルもの上昇です。さすがにここまで地合いが強いとトレンドに逆らうのは怖いですが、この楽観相場がずっと続くとも思えませんので、いつ調整が入ってもおかしくはないという状況は変わっていないと思います。

(2)香港ハンセン指数(HK50.i)

香港ハンセン指数(HK50.i)は中国全人代で香港への国家安全法適用の採択直前での執筆でしたが、全人代で採択されたことで6月中にも施行されることは確実な情勢となっています。しかし、トランプ大統領による制裁は香港の優遇措置を停止する程度に留まり想定された中では最も軽い制裁となりました。

香港ハンセン指数もこうした流れを受けて、全人代で採択が行われた翌日金曜に安値22610.5と5月安値をかろうじてキープした後はいったん安心感が広がり米国株を中心とした世界的な株式市場の上昇とともに本日は24733.5まで上昇し、5月高値目前の水準となっています。

■今週の注目銘柄

今週はポンド円(GBPJPY)とナスダック100種指数(USNAS100.i)を取り上げます。

(1)ポンド円(GBPJPY)

ポンド円に限らず、現状は円独歩安状態となっていることからドル円、ユーロ円等も含めてクロス円が全般に大幅高の状況にあります。

欧州内では本日のECBで追加の緊急対策が示されるといった思惑からユーロ高となっていますし、ポンドは12月でブレグジットの移行期間が終わることに対して以前は離脱ありきの強行意見が目立ちましたが、今週に入って移行期間の延期に柔軟な姿勢を示しているとの話がポンド買いの材料となっています。

現在もEUと英国との間では移行期間後の協議が続けられ、明日も協議が行われる予定となっていますが、2月から5月までは双方ともコロナ対策で動きが取れていなかったことを考えると半年から1年の移行期間延期は客観的に見て妥当だと思います。

一部では英国がそれでも離脱ありきの場合は、EU側が妥協姿勢も見せるのではという見方もありますが、これは後々問題を残すことになりそうですから、じっくりと協議をして双方合意の上でとなると半年延期というところでしょうか。いずれにしても延期の有無と期間は6月末までに決めることとなっていますので、それまでは思惑的にポンドが底堅い展開となってきそうではあります。

テクニカルにはどうか、日足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

現在の水準(昨日高値137.394)は年初来高値と年初来安値の61.8%戻しとなる136.973とほぼ一致しています。テクニカルには4月高値を上抜けたことが買いが強まり、ターゲットを達成したことでいったん調整が入りやすい水準です。中期的に上昇を続けるにしても、英国とEUとの協議を前に多少の調整が入ってからという見方のほうが自然です。

また円独歩安の動きもこれまで調整が入っていませんので、ポンド円に調整の売りが出る時にはポンド要因だけでなく、ドル円要因がきっかけとなることもありそうです。クロス円は全般的に上昇に息切れが起きそうな気がしてなりません。

(2)ナスダック100種指数(USNAS100.i)

先週のNYダウに続いて今週はナスダック100ですが、おそろしく強い地合いを示しています。超緩和状態のもとで投資資金が比較的コロナ禍の影響を受けにくいハイテク株へと向かっているという構図ですが、今の株価が正当化できるのかとなるともはや首をかしげるしか無いという水準に上がってきています。

最初に日足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

現在の水準は2月につけた史上最高値9752.25に対して9733.00と、ほぼ史上最高値と同水準にまで戻していることがわかり、こうなると史上最高値更新と大台10,000を見ないと終わらないという強い地合いにあると言えます。

しかし、冷静に考えると今週金曜に発表される米国雇用統計のうち累積失業者と一致するであろう失業率は20%近くに達すると予想されていて(先週のコラム部分参照)、5人に1人が失業状態の中で当然消費の落ち込みはすぐには回復しませんし、株価を考える際のPER(株価収益率)は驚くほどの上昇を示しています。

考えてみれば当たり前で、企業の収益は回復していない状態で株価だけがどんどん上がってきているわけですから、ナスダック以上に全米の企業全体の動向を示すS&P500ではPERが既に21倍を超え2002年以来の割高な水準を示しています。市場参加者の多くは楽観的な見通しに乗って買いが目立ついっぽうで、エコノミストなどは理解に苦しむといったところでしょう。

個人的には、先週のダウの見方でも示したとおりでどちらかと言えばエコノミストの見方に近いのですが、市場参加者の動きやテクニカルな観点からは、まず史上最高値を更新してから考えようというところではないでしょうか。そこから大台10,000をつけに行くかとなると、あまりにも買い手ばかりが目立つため、いったん大台示現前に調整が入る可能性が高いのではと見ています。

■来週の注目イベント(コラム)

6月に入り新型コロナウイルスの感染者数の数字は世界的にかなり減少傾向が見られ、また感染者の回復もかなりの率にはなっていますが、経済活動に目を向けるとコロナ前の状況とは程遠い状況です。ソーシャルディスタンスは今年を代表するキーワードのひとつとなりそうですが、飲食店は売上高は半減といったところから8割回復までにはまだまだ時間がかかるのではと思います。

また今回扱ったナスダックはハイテク関連が多いとはいえ、全米の状況を考えるとS&Pでさえ実体経済から乖離した高水準にあるわけで、超緩和状態での株価大幅高となると、景気が過熱した時のバブルに近いということになりますが、株式市場から離れると世の中はバブルどころかリセッションの流れをいつ断ち切れるのかという程度なわけです。

今年の米国は大統領選もありますので、作られた株高相場という動きは今後も調整を挟みながらも続ける可能性があり、逆にそうなると時期が半年後ろにずれ込んでの急落相場といったことも起こり得るかもしれません。しかし、今は冷静に考えるとマーケットに乗れないということになってしまいますので、しっかりとストップを置いた上でトレンドに乗っていくしかなさそうです。

さて、最後に明日の米国雇用統計ですが、失業率のコンセンサスが19.8%と先週から変わらず、予想の幅は17.5%〜20.0%となっています。またNFPはADP全国雇用者数が思いのほかマイナスが少なかったのですが、現時点のコンセンサスは772.5万減少で、予想の幅は350万〜1100万減少となっています。

どんな数字が出ても驚かない感じもしますが、実体経済を冷静に眺めるためにも重要な材料であることはたしかです。