新興国通貨安の警戒感が強まっている中、アジアの主要新興5カ国(インド、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ)の通貨の対米ドルベースの値動きをみると、年初来での下落率が最も大きいのはインドルピーである。

今月12日には一時1米ドル=72.91ルビーと年初来12%超安まで下落し、対米ドルの過去最安値を連日で更新した。経常赤字が過去5年で最大に膨らんだことを嫌気し、他新興国市場が売られる中、投資家は国際収支が悪化する国に一段と厳しい目を向けているのが現状だ。

他にもインドネシアやフィリピンの通貨も売りの対象となり、共通点は経常赤字国である点である。IMF予想によると3カ国とも2018年の経常収支が赤字で、特にインドは対国内総生産(GDP)比で2%超と大幅な経常赤字が見込まれている。

新興国通貨を圧迫している理由はドル高だけでなく、拡大する経常赤字の穴埋めを巡る懸念がルピー相場に大きな悪影響を及ぼしているのは明白だ。7日に発表されたインド準備銀行(中央銀行)の4~6月期の経常収支は前年同期から赤字額が拡大。フィリピン統計局が11日に発表した7月の貿易赤字も前年同月比で増え、経常赤字の拡大につながるとの警戒感が広がると、フィリピンペソは翌日12日には2005年12月以来およそ12年9カ月ぶりの安値を付ける展開となった。

インドやフィリピンは今年、通貨安やインフレ抑制のために中央銀行が繰り返し政策金利を引き上げ、為替介入も実施したが食い止められてはいない状況だ。ルピー相場は12日、一時は1ドル=72.9ルピーに下落。前日につけた過去最安値を更新した。ルピーは18年に入り米国の利上げなどを背景に対ドルで下落傾向を強めている。

ルピー安で貿易収支が悪化し、4~6月期の経常収支も赤字額は158億ドル(約1兆7500億円)に増加。経常赤字は国内総生産(GDP)比で1~3月期の1.9%から2.4%に拡大となった。国際収支の悪化がルピー安に更に拍車をかける展開だ。