中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者が逮捕されたことで、米中摩擦の悪化懸念が再燃し、12月6日の日経平均は暴落となった。米国が経済制裁を科すイランに製品を違法に輸出した疑いで米国の要請に応じて、カナダ当局が逮捕したという。1日の米中首脳会談を経て出た貿易戦争の「一時休戦」ムードを帳消しにした格好で、リスクオフムードを高めている。中国はファーウェイ幹部逮捕に「断固反対する」との声明を公表しており、中国が自国内の米企業に対して報復してくる可能性も否めず、緊張感が高まっている。投資家は米国主導で強まる対中包囲網が世界的な景気減速につながる懸念をかぎ取り始めており、しばらく売りの手は止まらない可能性がある。

市場が懸念するのは、対中国包囲網の米国以外への広がりだ。「英通信大手BTグループはファーウェイの製品を次世代無線通信規格の第5世代(5G)の通信サービスでは使用しないと表明した」とロイター通信は報じた。ニュージーランドとオーストラリアもファーウェイ製品を排除することを決定している。カナダも加え、これら諸国は英連邦に加盟しており、米国は同盟国である英国を対中包囲網に本格的に参戦させたとの見方が市場では広がった。

通信機器大手の中興通訊(ZTE)が対イラン・北朝鮮制裁に絡む合意に違反したとして米国から制裁を受けた際には逮捕者はおらず、今回はより深刻な事態と市場は受け止めた模様だ。

東京株式市場では、中国関連銘柄はもちろんのこと、景気敏感株に売りが殺到した。また、ファーウェイと進める5Gの実証実験などに影響が出るとの連想から、ソフトバンクは一時、5%超下落した。直近の半導体セクターの弱さも株価を押し下げる要因となっている。ソフトバンクは6日午後1時39分ごろから、一部地域で携帯電話サービスが利用しづらい状況が発生していると発表した。通信障害の発生を受け売り圧力が更に強まった。

ハイテク分野は別の問題といえ、米中対立は長期化する可能性がある。1日の米中首脳会談でそもそも90日間の関税執行猶予を受けたとはいえ、短すぎると懐疑的な見方をする投資家も少なくない。社会主義の中国は計画経済を目指しており、「中国製造2025」もその一環とも言える。米国は中国のハイテク強化策を脅威とみなしており、圧力をかける姿勢に変わりはなさそうだ。