■お知らせ

前回からスタイルを変え、先週は「ブレグジット案採決と今後の見通し」というテーマで、ファンダメンタル面とテクニカル面との双方の見通しを書かせていただきました。

しばらくの間はこのスタイルを継続し、毎回ひとつのテーマを取り上げ、そのテーマについて、現状どのようになっているのか、また今後どのようなことが考えられるのか、そしてテクニカルにはどのようになっているのかについて解説を加えていきます。

今回のテーマは「米中貿易摩擦とリスクオフ懸念」です。

また、前回同様チャートは全てテクニカル分析専門のツールであるFibonacci Traderを使用しています。

■米中貿易摩擦とリスクオフ懸念

●2017年以降の振り返り
米中貿易摩擦は昨年から激化の一途をたどり、トランプ大統領は矢継ぎ早に制裁関税の発動をしてきました。まず、ここに至るまでの時系列的な流れを振り返ります。

トランプ大統領の公約には税制改正、不均衡是正、メキシコとの壁といったあたりが大きな柱であったと思いますが、2017年には税制改正が行われ公約実現なったものの、それ以外の公約はなかなか思うように進んでいません。2017年以降不均衡是正問題に取り組み、特に米中間の貿易赤字問題を前面に中国との交渉を続けてきました。しかし、2017年の段階では「米中包括経済対話」により100日計画策定等、米中間の協力体制が見られましたが、2017年末の段階でも覚え書き程度のもので、実効性のある状態にまでは進むことはありませんでした。

そして昨年2018年に、一連の制裁関税が発動されることとなります。

第1弾はソーラーパネルに30%の追加関税という程度のところから始まりましたが、3月には中国だけでなく全ての国に対して鉄鋼、アルミの追加関税が示されました。ターゲットが中国であったことは一目瞭然です。さらにその適用範囲を広げ、6月には500億ドル規模の追加関税の発表、中国も対抗で追加関税を発表とこの段階で、現在の米中貿易戦争がスタートしたこととなります。

●2019年に入って

その後は、皆さんもご存知の通りで制裁関税合戦が繰り返され、さらには貿易戦争が中国の景気減速、さらには米国へも波及というのが現状です。中国は成長率が28年ぶりの低成長を示し、米国ではアップルの減益予想がNYダウの夜間取引での急落とドル円のフラッシュクラッシュを正月3日に起こしたことは記憶に新しいところです。

文字で見るよりもチャートで見たほうがわかりやすいと思いますので、こうした現状をもっとも早期に織り込んでくる株価チャートを見てみましょう。

このチャートは上段が、上海総合株価指数、下段がNYダウです。祝日の関係もあってぴったりとは揃っていませんが、比較しやすいように1ヶ月を紫の四角で囲ってあります。

ピンクの矢印で示した通り、NYダウは昨年10月のピークまで上昇を続けていましたが、その間も上海総合指数は下げ続けています。10月以降は中央の太い矢印で示したように、どちらも下げてきています。当初は中国の景気減速懸念で中国株に売りが入り、その後その動きが米国へも波及してくるとの懸念で後追いで下げてきているというチャートです。

さて、ここから考えられることですが、現在米中間では2月末まで制裁関税の猶予期間となっていて、不均衡是正の協議が行われています。当初は合意の可能性から直近の株高の動きとなり、ドル円もリスクオンで円安という流れでした。しかし、今週に入り中国側の提案を米国側が拒否したとのニュースも出てきて、果たして2月末までに合意に至るのかどうか、雲行きがやや怪しくなってきています。

昨年一年間の両国の行動を見ている限り、実際に合意という状況を見るまでは信じられないというのが個人的な感覚です。つまり、合意という文字を見るまでは積極的にリスクオンに動くと思わぬところでハシゴを外されるリスクは依然として残っているということです。米国では連邦機関閉鎖の余波もありますし、いったん景気が減速するとそう簡単に好転するということは困難です。

政策金利もシカゴのFF先物では年内利上げなしがコンセンサス、利上げと利下げという見通しの比較では既に利下げ見通しのほうが増えてきているということもあり、しばらくはリスクオフがメインシナリオであるというスタンスでいたほうが良いと見ています。いまは年初からの反動で株高、円安ですがドル円相場などは110円も見ましたし、そろそろ注意すべき段階にあるといえそうです。