■はじめに

私自身の為替相場に対する基本的な考え方を「FX羅針盤」という中立なニュースサイトに上げてあります。かなり長いコメンタリーですが「2019年ドル円相場見通し」という記事をお読みいただき、長期的にリスクオフのバイアスがかかった見方をしているという点は予めご理解いただければ幸いです。

2019年ドル円相場見通し・前編
2019年ドル円相場見通し・後編

それでは、本日は昨夜のFOMC結果を受け「FOMC後の為替相場」と題し、今後の為替相場へ与える影響について考えていくこととしましょう。

■FOMC前

まず、昨夜のFOMC開催前の段階でわかっていた事実を上げます。

以前から言われていたように、今年1月のFOMCから全ての会合後に議長会見が行われることが決まっていました。昨年アナウンスされた段階では、より機動的に利上げを行い市場参加者との対話を行う予定であったはずです。今回はハト派な姿勢を示すためのものとなりましたが、声明文だけでなくFOMCメンバーの考え方をわかりやすくする効果は期待されていたとおりです。

そして、FOMCメンバーのうち、FRB理事を除く地区連銀総裁は常任のNY連銀総裁を除いて、2年ごともしくは3年ごとの持ち回りです。2018年の地区連銀総裁に比べると、今年のメンバーはタカ派のカンザスシティ連銀総裁を除いて全員がハト派とハト派寄りの意見がより出やすい年になるであろうこと、これも事前にわかっていたことです。理事も含め、今年はタカ派3、中立3、ハト派5、空席1と圧倒的にハト派寄りでの開催となります。

さらに12月のFOMCでは2019年に2回の利上げ見通しが示されましたが、その結果NYダウは急落し年末の終値は年始の水準を下回ることとなりました。さらに1月3日にドル円のフラッシュクラッシュの原因となったアップルの減益見通しも加わり、パウエルFRB議長は市場との対話を取るべく、今年の利上げに対して柔軟な姿勢を示していました。

これらを総合するとFOMCの声明はハト派寄りの内容になるであろうというのが、昨日の段階でのコンセンサスであったと言えます。

■FOMC結果

結果は事前の予想の範囲内ではありましたが、金融政策は現状維持とした上で声明において「企業の設備投資は昨年前半の高い伸びと比べ緩やか」、「海外の経済・金融動向およびインフレ圧力が抑制されている」ことをあげ、今後の金融政策について「誘導目標レンジを調整するのを様子見する」と、実質的な利上げ打ち止めを打ち出しました。

さらに、FRBのバランスシートについては別の声明として「バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」と、これまでの国債再投資額減少によるバランスシート縮小の政策も転換の姿勢を見せました。この部分は想定以上に踏み込んだ声明であったと考えられます。

他にも細かな文言の使い方にハト派的な修正が見られたことで、FRBは12月までの引き締めから中立なスタンスへと舵を切り、今後の状況次第では緩和さえも想定した流れになってきていると見てよいでしょう。

FOMC後のCMEにおけるFF先物取引状況を見ると、今年の年末時点での政策金利は現状維持が79%と圧倒的、いっぽうで利上げ見通しは10%、利下げ見通しは11%(数字は全て四捨五入)と、再び利上げよりも利下げ思惑の方が強まる状況となっています。

■FOMC後の為替相場

この結果を受け、株式市場は引き締め終了思惑を好感し株高、いっぽうで為替市場は金利差拡大終了と景気減速懸念に反応してのドル安の動きとなり、ドル円はFOMC直前の109円台半ばから108円台後半へと水準を切り下げる動きとなりました。

この動きは一時的なものと考えるより今後も継続するという見方でいたほうがよいと考えています。ドル円は110円の大台が遠のきつつありますし、現状では強い株式相場も好材料が出尽くした感があります。今後は貿易摩擦による米国企業の収益悪化懸念や1ヶ月以上も続いた連邦機関閉鎖のあおりで、今後出てくる経済指標は悪化する可能性が高く、そうなると株式市場も売りへと転じる可能性が高いためです。

またブレグジットの行方も不透明であり、3月末に向けてどこでまたリスクオフの流れが注目を浴びないとも限りません。ドル円は距離こそ違えど110円よりも105円のほうが近いかもしれないというのが個人的な見通しとなります。