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SaxoTraderPRO概要

■先週の振り返り

先週は円建て金とパラジウムを扱いました。その後の動きを見ておきましょう。

(1)円建て金(XAUJPY)

先週から今週にかけてのドル建て金(XAUUSD)は週初月曜に大きな上昇を見て、一時1689.17と1700ドル近い水準にまで上昇しました。これは先週末の新型コロナウイルスがイタリア北部でも感染拡大をしていることや、米国でもいつ感染者が増えてもおかしくないという見解から、株式市場で起きたリスクオフの動きに対して、安全資産の金に買いが入ったことによるものです。

しかし対円では、ドル円が先週の高値112円台前半から、株安の動きに引っ張られて一時110円の大台をも割り込む動きとなったことで、円建て金(XAUJPY)は週初月曜の高値から反落する動きとなりました。

さらに気になる点としてはドル建て金も同様に下げている点です。米国の金融市場を見ると、リスク資産の株から安全資産の国債や金に資金がシフトしていることはたしかですが、火曜以降のドル建て金の下げは利益の出ている金をキャッシュ化して、株式市場での損失埋め合わせにしているのではないかということです。

深刻なリスクオフ相場では多くの投資資金がキャッシュ化され、シュリンクしていく中で安全資産からも資金が流出することがあり、米国ではトリプル安(株安、ドル安、債券安)とも言われますが、現状は債券高(長期金利低下)となっているため、そこまでの深刻さはありません。

しかし、コロナウイルスの感染拡大が収まらない中で、さらなるリスクオフが出てくる場合には、そうしたリスクもあるという点には注意が必要です。

(2)パラジウム(CFD)

上述の通り、リスクオフの動きからドル建ての金価格が上昇した動きが見られましたが、貴金属市場全般の底堅い動きにも支えられ、パラジウムは19日高値を上抜ける動きとなり、改めて史上最高値を更新中です。

金は高値からの調整も入っていますが、パラジウムにはそうした動きも見られず、19日高値からの下げで値頃感で売った参加者が踏み上げた感じもしますが、こうした動きではもっと上がってもおかしくはありませんし、急な調整が入って下げてもおかしくありません。狂乱相場状態ですから相当にリスクが高いことをわかった上でないと、買いも売りも難しい段階にあります。

純粋にテクニカルな観点から上下に可能性があるターゲットを計算すると、上は3070ドル水準、下は2330ドル水準といったところです。その手前にターゲットが無いわけではありませんが、ある程度の値幅を考えるとこれらの水準が妥当なところかと思います。

■今週の注目銘柄

今週はNYダウCFD(US30.I)とトルコリラ円(TRYJPY)を取り上げます。

(1)NYダウCFD(US30.I)

NYダウは2月中旬に史上最高値を更新した後は高値圏での一進一退を続けていましたが、今週月曜にはイタリアでの感染者急増(現時点で450人程度と日本の2.4倍)から既に世界的にウイルスが蔓延している可能性が高く、米国(現時点で60人程度)でもいつ感染拡大となってもおかしくはないという見方から急落相場となりました。

NYダウは月曜と火曜の2日間で1900ドルを超える下げとなりましたが、2日間の下げ幅としては過去最大とのことですが、株安の裏では債券高(利回り低下)と米国市場では完全にリスクオフ相場となっていることは円建て金の振り返りで書いたとおりです。NYダウはその後も下げ続けていて、NYダウCFDは本日の東京時間には先物市場夜間取引の下げを受け、26585.6と既に昨日の安値を下回る状況となっています。

少なくとも先週までの米国株式市場は、世界的な感染者拡大となっているにも関わらず理由の無い楽観が市場参加者に広がっている状態だったと言えますが、今週に入りようやく現実に目を向けたというところです。そして、ウイルスの感染者拡大が続く中で、当然今年1〜3月期の企業業績は悪化するでしょうから、そうなるとまだまだNYダウは下げるリスクが大きいと見たほうがよいと考えています。

テクニカルな観点から下値目処を考えてみます。週足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

直近の動きだけを見ていると随分下げたようにも見えますが、2018年12月安値からここまでの上げ幅を考えると決して驚くほどの値幅ではありませんし、昨年10月下旬から直近まで調整らしい調整が入ってこなかったことから、当面は戻しが入っても売りが出やすい流れになってきたと言えるでしょう。

現在の水準は2018年安値と史上最高値との38.2%押し26466に近いところにいますが、市場を取り囲む環境を考えると半値押しにあたる25508、つまり25000ドル台半ばまでの下げは考えておいたほうがよいように思えます。

(2)トルコリラ円(TRYJPY)

先週のトルコリラの注目材料としては19日のトルコ中銀による金融政策決定会合がありましたが、結果は予想通り0.5%の利下げとなり政策金利は10.75%となりました。この10.75%という政策金利はトルコのインフレ率12.15%(CPI前年比)よりも低く、実質金利はマイナスという状態です。

こうなるとトルコリラ売りに動いて当然なのですが、生先金利引下げ後のトルコリラ円は下げるどころか逆に上昇し、翌20日には18.385の高値をつけました。しかし、これはトルコリラ買いではなく円安が進んだことによる結果であって、その後の株安と円高の動きの中でトルコリラ円は17.823の安値をつけています。

この間の経緯はトルコリラ円とドルトルコリラを比較するとよくわかりますので、まず以下の4時間足チャートをご覧ください。

(チャート提供:サクソバンク証券)

緑と赤のローソク足がトルコリラ円で価格軸は右側、青のローソク足がドルトルコリラで価格軸は左側です。トルコリラは対円ではドル円の上下によっての動きに影響を受けましたが、ドルトルコリラは一貫してドル高・トルコリラ安に動いていることがわかります。

つまり、トルコリラ安トレンドが続いている中で、直近の株式市場からのリスクオフ相場はトルコリラ円にとってはかなりの悪材料となります。少し長めのチャートで下値の目処を考えてみます。

(チャート提供:サクソバンク証券)

現在の水準は昨年8月のフラッシュ・クラッシュ以来の安値となっていますので、こちらは週足チャートです。

週足チャートを見るとラインで示したような長期トライアングル(三角もちあい)の中での動きをしているように見えます。そうだとすると、現在の下げ相場はサポートが位置する16.60水準まで下げる可能性もあると考えることもできそうです。

今後の株式市場を中心としたリスクオフ相場次第とも言えますが、ウイルス感染者拡大はトルコの隣国イランでも増えていることを考えると、なかなかトルコリラを買うのは難しいと言えるのではないでしょうか。

■来週の注目イベント

先週紹介したウイルス予防はどうも間違った情報も含まれているチェーンメールのたぐいであったようです。間違っていた部分ですが、温かい飲み物は予防にならないとのこと。それ以外の点については概ね間違ってはいないようです。ただ、マスクでの予防といっても入手困難な状況ですから、なるべく不要な外出を避けるというのが一番効果的でしょうね。

さて、来週ですがいよいよ3月に入ります。注目のイベントとしては3日のスーパー・チューズデー、大票田であるカリフォルニア州を含め、14の州で予備選挙が実施予定です。米国大統領に向け民主党候補者の中から脱落する候補が出てくる可能性があり要注目です。

そして、依然として感染が拡大している新型コロナウイルスですが、イタリア北部でも大流行し欧州での感染拡大が懸念されていますし、米国で流行しているインフルエンザも一部は新型コロナウイルスの可能性もあるという話まで出てきて、金融市場にはリスクオフ懸念が拡大しています。

米国政治と米国内での感染拡大の可能性、この2つが来週の大きな材料となってきそうです。