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2026年第4四半期見通し:トレーダー向け「不安の壁を試す3つの試練」

四半期見通し 13 minutes to read

サマリー:  第4四半期の市場環境は、世界の株式市場が年末にかけて上昇基調を維持できるかどうかを試す難しい局面となりそうです。


近年の市場が繰り返し示してきた教訓の一つは、リスク要因がいかに大きく見えても、市場が必ずしも「理屈どおり」に反応するわけではないということです。イラン戦争は数十年ぶりの規模となる世界的なエネルギー供給混乱を引き起こしました。長期国債利回りも長年見られなかった水準へ上昇しています。一方で、AI投資ブームはかつてない規模へ拡大しており、その巨額投資が将来的にどのように十分な収益へ結び付くのかという難しい問いが、ますます意識されるようになっています。

それにもかかわらず、世界の株式市場は、AI関連銘柄のなかでもポジションが極端に集中していた一部銘柄で大きな変動が見られたことを除けば、再び驚くべき底堅さを示しています。市場はまさに「不安の壁」を乗り越え続けている状況です。

こうした強さは軽視できません。投資家は長年にわたり「押し目買い」に慣らされてきました。また、年金資金や長期資産などの巨額の資金が機械的かつ継続的に株式市場へ流入しています。さらに、債券利回りが大幅に上昇した現在でも、「TINA(There Is No Alternative:株式に代わる選択肢はない)」という考え方は依然として市場に根強く残っているように見えます。確かに、現在の債券は名目利回りという点で十分な収益機会を提供しています。しかし、長期国債については、財政赤字の恒常化やインフレリスクが続く環境下で、長期的な購買力を維持する手段としては魅力が低下していると考える投資家も増えています。もっとも、私たちはその見方を全面的には支持していません。もし政府債務が本当に主要な貯蓄手段としての役割を失うのであれば、その影響は金融システム全体を揺るがすほど重大なものになるでしょう。

足元の市場環境を踏まえると、第4四半期の中心シナリオとして大幅な株価調整を見込む状況にはありません。一方で、この先の四半期には、株式市場の回復力が試される局面を迎える可能性があります。特に、エネルギー供給ショックの再発、近年で最も高い水準にある世界の国債利回り、そしてAI業界で広がりつつある「最先端技術の進歩ペースを意図的に抑制すべきか」を巡る議論は、市場に影響を及ぼし得る重要な要因と考えられます。

エネルギー供給ショックと金利上昇圧力が交錯する

当面の課題は、再びエネルギーです。サウジアラビアのインフラを巡る最新の混乱により、すでに需給が逼迫している原油および石油製品市場への不透明感が再燃しています。加えて、欧州では天然ガス価格も急騰しています。もっとも、政治的な打開が実現すれば、湾岸地域からの供給が想定以上に早く回復する可能性もあります。そのため、今回の供給ショックがどの程度の規模となり、どれほど長期化するのかについては依然として不確実性が高い状況です。ただし現時点では、経済は現在のエネルギー価格水準を受け入れざるを得ません。

特に欧州は、原油と天然ガスの双方が大幅に上昇しているため、その影響を受けやすい状況にあります。一方、米国は、とりわけ天然ガス供給の面で比較的自給力が高く、供給面からの影響は限定的です。それでも、原油や精製燃料価格の上昇は、輸送コストや企業収益率を通じて経済に波及します。

今回のような供給側要因によるインフレは、中央銀行による利上げとの相性があまり良いものではありません。金利を引き上げても、損傷したパイプラインを修復したり、新たなディーゼル燃料を生み出したりすることはできないからです。利上げによって、当初の価格上昇が賃金やインフレ期待全体へ波及するのを抑えることは可能ですが、その代償として経済の他の分野における需要を冷やすことになります。

FRBは9月の会合で、まさにこのジレンマに直面しました。政策金利の誘導目標レンジを25bp引き上げ、3.75~4.00%としたのです。仮に2026年末時点のドットチャートをそのまま受け止めるならば、中央値ではあと1回の利上げを実施した後、2027年末まで追加利上げはないことが示唆されています。しかし9月下旬時点の市場は、FRBの見通しを上回り、2027年半ばまでにさらに2回の利上げを織り込んでいます。また、景気や雇用指標が明確に悪化しない限り、FRBはインフレ抑制への強い姿勢を維持せざるを得ない可能性があります。インフレへの対応姿勢が不十分だと市場に受け取られれば、長期金利がさらに上昇しかねないとの懸念があるためです。もっとも、FRBがここから大幅な追加利上げを行える余地は限られていると考えられます。米国政府の債務利払い費用はすでに過去最高水準に達しており、金利上昇が続けば、民間部門の資金需要を圧迫する「クラウディングアウト(民間資金需要の押し出し)」のリスクが高まるためです。

実際、主要国では長期金利が世界金融危機(GFC)以降で最高水準へと上昇しています。米国10年国債利回りは5%に迫り、ドイツ国債利回りも数年ぶりの高水準へ上昇しました。日本の10年国債利回りも数十年ぶりの水準に達しています。さらに、フランスとドイツの10年国債利回り格差は、ユーロ圏債務危機以来の水準まで拡大しています。現状はまだ2011~2012年当時のような市場分断の局面ではありません。しかし、国債利回りのさらなる上昇と国別スプレッドの拡大が同時に進めば、欧州が加盟国の国債市場を一体となって支える姿勢が改めて試される可能性があります。


チャート:主要国の10年国債利回り

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Source: Bloomberg

チャート:主要国の10年国債利回り。米国、英国、ドイツ、フランス、日本の10年国債利回りの推移((2000年~2026年、データは2026年9月11日時点)。)。2000年以降、2020~2021年のコロナ禍を含め、市場が混乱する局面では国債利回りの低下が繰り返し金融資産の評価を下支えしてきました。しかし、第4四半期の市場環境はそれとは対照的です。投資家にとっての焦点は、世界的な資本コストの上昇がどの水準まで進み、経済成長や財政運営、さらには資産価格に本格的な見直しを迫ることになるのかという点にあります。なお、日本の国債利回りもドイツとほぼ同水準まで上昇しており、かつての「日本だけが極端な低金利国」という構図は大きく変化しています。

国債市場を誰が支えるのか

市場の不安定化に対する政策対応は、世界金融危機後のパターンとは大きく異なる可能性があります。当時は、景気の低迷や金融システムへのストレスは一般的にディスインフレ(物価上昇圧力の低下)要因と見なされていました。そのため、中央銀行は政策金利の引き下げや量的緩和を実施しやすく、投資家をより高いリターンを求めてリスク資産へ向かわせることが可能でした。一方で、財政政策は比較的抑制的な運営が続いていました。

しかし現在は状況が大きく異なります。各国政府は、防衛費の拡大、エネルギー安全保障への投資、産業政策の強化、さらには高齢化への対応などを背景に、構造的に巨額の資金調達を必要としています。その一方で、インフレ圧力が残る環境では、中央銀行が国債利回りを強力に抑え込むことには限界があります。インフレを伴う供給ショックのさなかに、かつてのような大規模量的緩和を再び実施すれば、問題の解決よりも新たな問題を生み出す可能性の方が高いでしょう。

今後、国債の発行増加を市場が十分に吸収できなくなり、国債市場が需給面で不安定化した場合でも、政策当局がまず選択するのは財政緊縮や大規模量的緩和への回帰ではないと考えられます。むしろ焦点となるのは、「誰が国債を保有するべきか」という点です。もちろん、現時点でその段階にあるわけではありません。また、米財務省による通常の国債買戻しや、中央銀行のバランスシート縮小ペースの減速は、いわゆる「金融抑圧」には該当しません。しかし長期的には、銀行のバランスシート上で国債をより優遇的に扱う規制変更、国内年金基金による国債保有を促すインセンティブ、国内貯蓄を国債市場へ誘導する新たな制度などが検討される可能性があります。

この点で、日本は特に注目すべき国です。なかでも世界最大級の年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産配分方針の変化には注意が必要です。市場では、GPIFが2026年3月に国内債券の配分比率を維持すると決定したにもかかわらず、そのわずか6か月後にあたる8月に国内資産配分を議題とする異例の会合を開催したことを受け、将来的に資産配分を見直す可能性が示唆されているとの見方も広がっています。

要するに、将来、国債市場が不安定化した場合の政策対応は、「誰にでも流動性を供給する量的緩和」ではなく、「国債を保有する主体を増やす、あるいは保有を促す政策」へと徐々にシフトしていく可能性があるということです。


米国株:市場の追い風が逆風に変わるとき

米国経済には、もう一つの特異な脆弱性があります。それは、株式市場そのものです。

米国では富裕層が個人消費の大きな割合を占めているため、株式市場による資産効果が経済活動に与える影響が非常に大きくなっています。株価の上昇によって保有資産が増えれば、消費者心理や支出意欲が高まり、それが企業収益の改善や株価のさらなる上昇につながります。また、資産効果だけではありません。AIデータセンター建設に伴う巨額の設備投資は、S&P500企業の利益成長率を押し上げる要因にもなっています。こうした投資支出は比較的早い段階で企業の損益計算書に反映される一方で、それに伴う負のキャッシュフローは、各種の債務調達手段やオフバランスの特別目的事業体、さらには第三者へと分散されることで目立ちにくくなっています。

しかし、このようなメカニズムは、上昇局面だけで機能するものではありません。十分に大きな株価調整が発生すれば、消費支出や企業業績が悪化し、それがさらなる株価下落を招く可能性があります。また、高水準に積み上がった信用取引残高は、強制的なポジション縮小を引き起こし、市場の下落圧力を増幅させる要因となり得ます。同時に、「支出は今後も拡大し続ける」という前提のもとで積極的にレバレッジを活用してきた企業の中には、資金繰りが急速に悪化し、流動性不足に直面する企業も出てくるかもしれません。

もっとも、こうしたリスクが存在するからといって、株価調整がいつ起こるのか、あるいは本当に起こるのかを判断できるわけではありません。市場はこれまで何度も、「高すぎるバリュエーション」「過剰なレバレッジ」「明白なマクロ経済リスク」がすぐに株価下落につながると考えた投資家を打ちのめしてきました。

また、市場には安定化メカニズムも存在します。株価が十分に下落すれば、成長見通しの悪化を背景に長期金利がある程度低下し、それによってリスク資産への投資妙味が回復する可能性があります。場合によっては、再びリスク選好が高まる展開も考えられます。ただし、その一方で、米国をはじめとする主要国の多くは、景気拡大が続いている現在においても大幅な財政赤字を抱えています。そして、仮に景気が減速すれば、市場は追加の財政刺激策やさらなる財政赤字拡大を織り込み始める可能性が高いでしょう。そのため、長期金利が短期間で大幅に低下し、かつてのような低金利環境へ急速に回帰するとの見方には、なお慎重であるべきだと考えられます。

AI:知能を「作る競争」から「活用する競争」へ


AnthropicのCEOであるダリオ・アモデイ氏が提唱する「最先端AI開発のペースを抑えるべきだ」という主張は、その表面的な内容だけを見ても真剣に受け止める価値があります。Anthropicは以前からAIの安全性を重視しており、自律性を高めるAIエージェントの登場は、アライメント(人間の意図との整合性)やサイバーセキュリティの観点から現実的な懸念を生み出しています。しかし市場にとって重要なのは、安全性だけではありません。最先端モデルの開発ペースを抑えることが、初めて安全性だけでなく経済合理性の観点からも支持され得る局面に入りつつあるのです。

現在の最先端モデルはすでに驚異的な能力を備え、莫大な収益成長を生み出しています。問題は、その先にあります。新世代のモデルを開発し、性能をさらに一段向上させるためには莫大な投資が必要ですが、一方で競合他社はその差を比較的短期間で埋めることができます。その結果、最先端AIを開発する企業同士が、相対的な地位を維持するためだけに巨額の支出を続ける「赤の女王競争(競争優位を維持するために各社が巨額投資を続けるものの、相対的な差はほとんど縮まらない消耗戦)」に陥るリスクがあります。

中国の存在は、この構図をさらに重要なものにしています。中国の開発企業は、資金や半導体に関する制約がより厳しい環境に置かれてきたため、効率性の向上やオープンウェイトモデルの活用を積極的に進めてきました。また、中国勢の存在によって、米国のAI企業が単純に開発競争を止めることは難しくなっています。このため、安全性を理由とした規制提案は、先端半導体の輸出管理や、西側諸国の技術的優位を維持するための政策とも重なり合うことが増えています。

さらに根本的な疑問もあります。実際の業務のうち、本当に最も高価な最先端モデルを必要とするものはどれほどあるのでしょうか。モデルルーターを利用すれば、日常的なタスクはより低コストな小規模モデルやオープンウェイトモデルに振り分け、最先端モデルは最も難しい問題に限定して利用できます。また大企業にとっての真の価値は、多くの場合、独自のデータや知的財産、業務プロセスにあります。そのため企業向けAIの多くは、社内で管理される独自データを対象として、ローカル環境や厳格に管理されたモデル、検索拡張システム(RAG)、あるいは特定用途向けアプリケーションを活用する形で展開される可能性があります。最先端モデルは本当に必要な場面に限定して利用され、企業データが次世代の公開モデルの学習に利用されないことを厳格に保証する仕組みが求められるでしょう。

これはAIの利用が減るのではなく、むしろ拡大することを意味するかもしれません。ただし、その経済的恩恵を受ける主体は変わる可能性があります。最先端モデルの学習(トレーニング)から実運用(デプロイ)へと重心が移れば、推論処理に最適化された半導体やカスタムチップ、ネットワーク機器、ストレージ、プライベートクラウドやオンプレミス環境向けインフラ、サイバーセキュリティ、そしてデータ管理ソフトウェアなどが恩恵を受けるでしょう。もちろん、それは高性能GPUやHBM(高帯域幅メモリ)への需要が消えることを意味しません。大規模な推論モデルは、推論時にも膨大な計算能力やメモリを必要とするためです。しかし、最先端モデル開発競争のペースが鈍化すれば、ハードウェア分野の中でも特に学習処理向けの領域が現在のような速度で成長し続けるという前提には疑問が生じるでしょう。

規制もまた、状況をさらに複雑にします。Anthropicの安全性に関する主張は、同社がIPOを視野に入れる中で、競争相手の参入障壁を高めようとしているように映る可能性があります。同社はオープンウェイトモデルの全面禁止には反対していますが、安全基準の統一や外部評価、コンプライアンス体制の整備が義務付けられれば、それに伴う固定コストを容易に負担できるのは大手企業に限られるでしょう。そのため規制は、実際に存在するリスクへの対処という側面を持つ一方で、新規参入を難しくし、既存大手の優位性を強化する役割も果たし得ます。意図した結果かどうかにかかわらず、この点で安全性を巡る議論は「規制の虜(規制当局が規制対象側の利益に影響される状態)」というリスクとも重なり始めます。

市場の観点から見ると、AI関連銘柄の見通しを左右するのは単なる成長率ではなく、その成長率の変化率です。AI関連セクターにさらなる大きな調整が起こるためには、AI需要やハイパースケーラーの設備投資が減少する必要は必ずしもありません。むしろ、市場が今後も加速度的な拡大を期待していた支出が、成長は続くものの伸びが徐々に鈍化するだけでも、すでに極めて高い成長を織り込んでいるハードウェア関連銘柄では大きな調整が発生する可能性があります。

資本コストもまた、成長速度を抑制する要因です。各国政府が引き続き巨額の国債発行を続けるなか、AI関連インフラの構築そのものもまた巨大な資金需要を生み出しています。私たちは、ハイパースケーラーによる資金調達が国債市場の売り圧力を生み出していると主張するつもりはありません。しかし限界的には、AIブームも自らを支えるために必要な資本を他の資金需要と奪い合っているのです。その結果、金利上昇は二重の意味で重要になります。第一に、将来利益への期待が大きい長期成長資産のバリュエーションを圧迫します。第二に、その成長期待を支えるAIインフラへの投資資金調達コストそのものを押し上げるためです。


何が市場の見方を変えるのか

第4四半期に強気シナリオが実現する可能性は十分にあります。中東情勢に進展が見られれば、原油・天然ガス価格が大幅に下落し、インフレ見通しの改善を通じて長期金利の低下につながる可能性があります。また、ハイパースケーラー各社が積極的な投資計画を再確認し、AI投資が実際に収益や生産性の向上につながっていることをより明確に示せれば、市場心理の追い風となるでしょう。このような状況となれば、現在市場の重しとなっている三つの要因はいずれも和らぎ、市場は再び数々の懸念材料を乗り越えながら上昇を続ける可能性があります。

一方、より弱気なシナリオは、どれか一つの要因が深刻な問題へ発展することを必ずしも必要としません。むしろ懸念されるのは、三つの圧力が同時に作用し、互いに影響を強め合うケースです。すなわち、エネルギー価格が高止まりし、実体経済の成長を圧迫すること、リスク選好が悪化しても長期金利が十分に低下せず、あるいはさらに上昇すること、AI関連の設備投資の成長見通しが下方修正される具体的な兆候が現れることです。

こうした状況が重なれば、家計の購買力、株式市場のバリュエーション、さらには米国経済を支える最も重要な投資の原動力の一つが、同時に打撃を受ける可能性があります。

為替市場を動かすのは金利か、それとも資金か

米ドルについては、市場が急速にリスク回避へ傾く局面では、依然としてドル高で反応する可能性があります。ただし、ここで重要な注意点があります。最近では、海外投資家による米国への資金流入は、米国債よりも米国株へ大きく偏っています(下図参照)。そのため、米国株が継続的な下落局面に入った場合、ドル流動性を求める一時的な資金流入が一巡した後には、ドルを支えてきた構造的な資金流入要因の一つが失われる可能性があります。

さらに、世界最大の純貯蓄国である日本は、国内国債市場や円相場への圧力が強まった場合、自国の貯蓄資金をより国内にとどめ、さらには海外から還流させる方向へ動く可能性があります。そのため、私たちは引き続き中長期的には円高方向を見ています。ただし、世界的な金利上昇が続いていることから、その実現時期については不確実性があります。日本の政策当局は、急激な円高への転換を目指しているというよりも、安定的で緩やかな円高を志向しているように見受けられます。私たちの基本シナリオであるUSDJPYの150円割れ、さらには140円方向への下落を大きく上回るような円高が実現するためには、海外資産の本格的な国内還流を促すような、世界的なデレバレッジ局面が必要になるかもしれません。

ユーロについては、フランスがますます注目すべき存在になっています。フランス国債とドイツ国債の利回り格差がさらに大きく拡大した場合、「フランスは大きすぎて救済不能にはならない」という前提のもとで、欧州が加盟国の国債市場をどこまで支援する意思を持っているのかが試されることになるでしょう。ポンドについても、これに類似した試練が待ち受けています。バーナム政権の予算編成を巡り、英国は巨額の財政赤字と経常赤字という「双子の赤字」を抱えるなか、高止まりする英国国債利回りによって財政運営の自由度が大きく制約されています。果たしてバーナム政権は、財政規律を求める債券市場の圧力にどこまで抗えるでしょうか。


株式市場見通しのまとめ

当社の2026年第3四半期見通しでは、AIハードウェア関連銘柄を支えてきた成長前提が、次第に維持しにくくなっていると指摘しました。しかし現実には、市場はそうした懸念が示唆する以上の底堅さを再び示しています。この点は、第2四半期後半に見られた放物線的な上昇の後、多くのAIハードウェア関連銘柄が大きく調整したにもかかわらず、忘れてはならない事実です。

 

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チャート:海外投資家による米国株および米国債への投資資金流入
本チャートは2000年以降の海外投資家による米国株および米国債の購入額を、過去12か月累計ベースでGDP比として示したものです。このチャートが示しているのは、過去1年間の米国株市場への資金流入が、2000年のテクノロジー・通信バブル期に記録された過去最大級の流入局面を大きく上回る水準に達しているということです。仮に米国株市場が弱含む局面で、海外投資家による株式への資金流入が反転した場合、米ドルがどのような値動きを示すのかは非常に興味深いテーマです。特に、米国債がもはや安全資産として認識されなくなった場合、その影響は一段と大きくなる可能性があります。
それでも、第4四半期には非常に興味深い三つのテーマが交錯する局面が訪れます。つまり「エネルギー価格は消費者と企業利益率への圧力を試している」、「ソブリン債利回りの上昇は株式バリュエーションと財政運営を試している」、「AI業界自身が、最先端モデル開発競争を際限なく加速させ続けることに経済的・安全保障上の合理性があるのかを問い始めている」の三つのテーマです。これらの要因が単独で市場を崩す必要はありませんが、しかし、それらが同時に進行することで、市場がこれまで乗り越えてきた「不安の壁」の土台がどれほど強固なものなのかが、あらためて試されることになるでしょう。また、債券市場の不安定化に対応するために、主要国政府が財政緊縮へ転じるとは考えにくいでしょう。巨額の債務負担の重圧を相対的に軽減するためにも、名目経済は引き続き成長を維持していく必要があるからです。

 
2026年第4四半期 商品市場見通し:供給不足が引き続き実物資産を支える

2026年第4四半期のコモディティ市場は、供給不足、地政学的な不確実性、そして拡大する財政懸念が引き続き実物資産を支える環境の中で始まろうとしています。ここ数か月は中東のエネルギーショックが市場の中心テーマとなってきましたが、より大きな流れとしては、エネルギー、鉱業資源、一部の農産物を問わず、需要が繰り返し供給制約に直面している状況に変わりありません。

こうした環境を最もよく反映しているのが貴金属市場です。金(ゴールド)は依然として、高水準の債券利回りや資金調達コストの上昇という伝統的な逆風にさらされています。しかし、その底堅い値動きは、需要の構成に重要な変化が生じていることを示しています。金利に敏感な投資家は現在の利回り水準に慎重姿勢を取るかもしれませんが、中央銀行やその他の戦略的な買い手は、利息を生まない資産を保有する機会費用をそれほど重視していません。

さらに、国債利回りの上昇そのものが、金を支える長期的な要因の一つとなりつつあります。利回りが上昇すれば、すでに高水準に達している政府債務の利払い負担が増加し、財政の持続可能性や通貨価値の希薄化、さらには法定通貨そのものへの信認に対する懸念を高めることになります。こうした環境下では、金融システムの外側に存在する希少資産としての金に対する需要が消えるとは考えにくいでしょう。銀やプラチナも同様の投資テーマから恩恵を受ける可能性がある一方で、工業需要という追加的な支援材料も持ち合わせています。

エネルギー市場は、第4四半期に大きな転換点を迎える可能性があります。11月の米国中間選挙までに、湾岸地域からの原油、石油製品、LNGの供給を大幅に増加させるような持続的な政治的解決が実現する可能性は限定的だとみています。それまでは、需給が逼迫した現物市場と極めて強いバックワーデーションが、原油、特に石油製品価格を支え、高いボラティリティを維持させる可能性があります。

しかし、その後の展開は急速に変化するかもしれません。政治的な打開策が実現し、分断されていた供給ルートが再開されれば、抑え込まれていた原油、石油製品、天然ガスが一気に市場へ流入する可能性があります。その結果、価格は大きく調整し、現在高水準にあるバックワーデーションも縮小するかもしれません。

もっとも、エネルギー価格が単純に戦争前の水準へ戻るとは考えていません。極端な高価格が続いたことで需要破壊が進んでおり、その一部は恒久的なものとなる可能性があります。また、省エネ化や代替エネルギーへの移行、電化の進展も加速しています。一方で、戦略備蓄や民間在庫の再構築需要は、供給正常化後の大きな需要源となる可能性があります。そのため、最終的なエネルギー価格がどの水準で落ち着くかは、失われた需要がどの程度戻るのか、そして在庫再構築がどれほどの規模と速度で進むのかのバランスによって決まるでしょう。

産業用金属については、より単純な供給不足の物語が続いています。銅は、電化の進展、送配電網の拡大、再生可能エネルギー投資、データセンター需要の増加といった構造的な需要拡大の中心に位置しています。一方で、鉱山会社は十分な新規供給を確保することに苦戦しています。鉱石品位の低下、コスト上昇、許認可取得の遅れ、開発期間の長期化により、供給は価格変化に対して弾力的に反応しにくい状態にあります。その結果、在庫が逼迫した局面では価格に対する上昇圧力が再び強まるリスクがあります。

農産物市場では、第4四半期に天候と地政学が主要テーマとなります。エルニーニョ現象のリスク上昇は地域ごとに異なる影響をもたらし、一部の地域には恩恵をもたらす一方で、別の地域では収穫量の減少や供給障害を引き起こす可能性があります。また、ウクライナ戦争は引き続き黒海地域の生産・輸出に不確実性をもたらしています。

私たちは農産物市場全体が一律に上昇するシナリオを想定しているわけではありません。むしろ今後は、個々の供給要因が投資機会を左右するとみています。特に、砂糖、綿花、コメ、小麦は、天候パターン、エネルギー価格、地政学的な混乱の変化に応じて注目すべき市場になると考えています。

コモディティ市場全体を貫くテーマは、引き続き供給不足です。供給が短期間で増やせない市場では、ボラティリティが高止まりしやすく、バックワーデーションが投資リターンを押し上げる可能性があります。そして、金融面でも地政学面でも不確実性が高まるなか、実物資産は引き続き投資家の関心を集める可能性があります。

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■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。